上場会社の2015年9月中間決算の発表が続いている。業績は期初予想を上回った会社も少なくないが、市況の見通しには不透明感が滲み出ている。
電機業界においては、売上高と利益項目のすべてで過去最高を更新中の日本電産、売上高も利益も期初予想を大きく上回り通期予想を上方修正した村田製作所など、絶好調の会社がある一方で、経営再建が混迷する東芝やシャープの例もある。しかし、これらはどちらも例外的な事例だ。
業界各社の多くは、業績について「足元は悪くはないが、不透明感に包まれている」と感じているのが実態のようだ。9月中間決算が好調だった会社の中には、期初予想を上回ったが通期予想は下方修正している、という会社も少なくない。
また、9月中間の実績にかかわらず、通期予想については「不透明感があまりにも強い」ことを理由に、据え置いているケースも目立つ。
この不透明感の最大の要因は、「中国経済の減速懸念」である。また、9月中間決算においては、為替差益により、収益がいわゆる下駄を履いた状態になっているケースも多かったが、為替レートは通期では逆に振れる可能性もあり、各社が慎重になるのも当然だ。
では、下期(今年10月から来年3月)の景気はどうなるのだろうか。そのひとつの指標として、半導体製造装置大手のアドバンテストの状況を見てみよう。
中国経済の減速は一過性で収まる?
アドバンテストは、半導体試験装置をはじめとした半導体製造装置の大手である。半導体製造装置というのは、半導体メーカーの投資によって受注が決まる。
そして、半導体メーカーがどれだけ半導体をつくるかというのは、スマートフォン(スマホ)やテレビ、自動車などの最終製品が今後どのくらい売れるかの予測と言い換えることができる。つまり、半導体製造装置の需要予測は、景気を見通す上で重要な指標と考えていい。
そのアドバンテストは、16年3月期の通期予想を下方修正している。それは、足元の受注が失速していることが理由だ。中国市場でのスマホ販売の減少などを背景に、半導体メーカーの非メモリ半導体用テストシステム投資が減速している。こうした背景により、16年3月期の下期業績は悪化が見込まれ、通期予想を下方修正したのだ。