販売現場で話を聞いても、「“これだ”と思い当たるものがない」「そんなに売れているイメージはない」といった話も聞き、なかには「何か裏があるような……」と怪しむ声も聞かれた。レンタカーやカーシェアリングなどのフリート販売を積極的に行ったのかもしれないが……。
ある事情通は、「タクシー事業者のなかには、トヨタのタクシー専用車となる『JPNタクシー』に対して、価格の高さなどもあり購入を手控えるところが目立つとも聞きます。一方で、LPガスも使えるようにシエンタを改造して導入してもJPNタクシーより導入コストが安く済むとして、シエンタがタクシー車両として注目されています。ひょっとしたら、“シエンタタクシー需要”が販売台数を押し上げているのかもしれません」と話してくれた。
“なんとか”という表現も似合うが、トップ争いに食い込んでいるノートは9月単月では意地を見せてプリウスを抜き、登録車で2位となっている。しかし、前年同期比97%と、19年度締め上半期末決算セール期間ともなる9月にしては精彩を欠いている。トヨタ系ディーラーよりもディーラー在庫車販売比率の高い日産は、車両登録にかかる日数を短縮することができるので、トヨタよりギリギリまで勝負ができるにもかかわらず、前年同期比プラスを達成できなかった。プリウスの動きはウォッチしていたのかもしれないが、“思わぬ伏兵”ともいえるシエンタまではマークしきれなかったのかもしれない。
日産、お家騒動が販売現場にも悪影響か
上半期ランキングに話を戻すと、トヨタは車両カテゴリー別で、セダン(プリウス)、ミニバン(シエンタ)、SUV(RAV4)でそれぞれ販売ナンバー1を獲得している。この手のランキングにご執心だった日産は、かろうじてノートがコンパクトハッチバック車で販売ナンバー1となっている。
「デイズ」シリーズ、ノート、「セレナ」に極端に偏った国内販売を続けてきたこともあるが、やはりいまだにメーカーである日産が“お家騒動”でゴタゴタしていることが販売現場に悪影響を与えている事情が背景にあるのは間違いない。
18年11月にカルロス・ゴーン前会長が逮捕されてから、まもなく1年がたつが、その間、日産の話題といえば社内のゴタゴタに関するものが圧倒的に多かった。そして、消費者はその状況を冷静に見続けてきた。そのなかで「新車を買おうかな」となれば、よほど日産へのこだわりが強くなければ「とりあえず日産車は外そう」となるのは当たり前。