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さらには、「頭取がいろいろ地域を回り講演をされているのを多く聞くが、頭取は日本経済や世界情勢の話はしても、銀行との付き合い方を教えてくれた頭取は誰一人としていない。業界を通じて情報を得ているので、必要な世界情勢に関して自分たちは詳しい。ぜひ、銀行が地域の中小企業に対して、どういうアドバイスをしてくれるのか、ビジネスのやり方や商品の売り方などを銀行の目線から見て、生きた話をしてほしい」とまで言われれば、これは手厳しいどころの話ではない。まるで、地域金融機関の経営者としてダメ出しされたようなものだ。こんな話がお上である金融庁の耳に入れば、「その後の金融検査でどんな仕打ちに遭うかわからない」と怯えるのも致し方ないところだろう。
安倍政権が進める地方創生では、地域産業の育成、地域企業の生産性向上などに地域金融機関がいかに取り組んでいけるかが地方創生のカギを握る。それだけに、監督官庁である金融庁としては地域金融機関の監督に力が入る。金融庁幹部は、「地域金融機関は、担保・保証に依存する融資姿勢を改め、企業の事業性を適切に評価し、融資などを通じて地方創生に貢献していってほしい」という。
地域金融機関にとっては、長年培ってきた慣習を変えるのは容易ではない。しかし、お上自らが乗り出してきて、企業にヒアリングまでするとなれば、“袋のネズミ”同然だろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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