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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

牛豚肉等や加工肉に発がん性認定、複数機関が「確実」…食品安全委は反論

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 さらに、ほかの機関のデータも提示した。07年の世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、「赤肉、加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが“確実”と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500グラム以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告」しているという。
 

国立がん研究センターの調査

 ところで、IARC発表のベースになった全世界地域の論文の赤肉摂取の範囲はおおむね1日50~100グラムで、中には200グラム以上もの高い地域もあった。それに対して、日本人の場合、13年の国民健康・栄養調査によれば、赤肉・加工肉合計の摂取量は1日63グラム(うち赤肉50グラム、加工肉13グラム)にすぎず、世界的に摂取量がもっとも少ない国の1つだという。

 その日本の場合だが、国立がん研究センターは岩手、秋田、長野、茨城、新潟、大阪、高知、沖縄の各府県の計10保健所管内に住む、過去にがんや循環器系の病気にかかったことのない男女約8万人について、1995年と98年から06年まで追跡調査をした。その調査に基づいて、肉類の摂取量と大腸がんとの関連について調べた結果を、11年に発表【編注6】した。

 追跡期間中、1145人が大腸がん(結腸がん788人、直腸がん357人)の発生が確認された。この中から、年齢や飲酒、肥満など大腸がんのリスクを高めることがわかっている要因の影響を受けたケースを除いた。

 その結果、まずIARC発表と違って、男女とも加工肉では結腸・直腸がんのリスク上昇はない。もともと加工肉の摂取量が少ないためのようだ。ただし、摂取量が少ない下位10%のグループと比べて、上位10%のグループでは発生率が1.37倍高かった。

 これは、加工肉の摂取量が日本人の平均的レベルでは、はっきりとしたリスクにはならないが、はるかに多く摂取する一部男性の場合、リスクが上がる可能性を示す。

 次いで、赤肉(牛・豚)の摂取量が多い(1日80グラム以上)女性は結腸がんリスクが高いが、男性でははっきりしたリスク上昇はない。また、肉類全体の摂取量が多い(1日100グラム以上)男性は結腸がんリスクが高い。

 男性の場合、赤肉での直接的なリスク上昇はなかったが、肉類摂取量のうち牛・豚肉が85%を占めており、男性でも赤肉摂取による結腸がんリスク上昇の可能性を否定できないという。

大腸がんの原因物質

 それにしても、なぜ赤肉や加工肉を食べると、大腸がんになるリスクが高くなるのか。それにはいくつかの物質が原因と考えられているが、少なくともそのうちの2つは確かなようだ。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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