捏造も当たり前…病気を「つくり」ガッポリ儲ける製薬企業 高血圧の基準がコロコロ変わる裏事情
病気の基準値を厳しくするほど「儲け」が増える製薬メーカー
薬剤費が下がらないもうひとつ理由は、製薬メーカーが医師や医療機関と癒着した関係のなかで「病気の基準値を変える」というマジックを実現してきたからです。
高血圧症、糖尿病、高脂血症(脂質異常症) という3大慢性病の基準値は、これまで次々と改訂され、厳しくなってきたという背景があります。
たとえば、日本における高血圧症の患者数は1987年には170万人でした。それが2011年には5.3倍の907万人にまで増えています。同様に糖尿病も、1990年の560万人が2012年には950万人と1.7倍に増えています。高脂血症も96年の968万人が11年には1900万人と約2倍以上に増えています。
1980年代までは、高血圧の基準は「年齢+90」といわれ、概ね180/100 と大らかなものだったのです(旧厚生省)。それが、93年にはWHO(世界保健機関)と国際高血圧学会が140/90を打ち出したことにより、日本の高血圧症患者数はグンと伸び、96年には750万人を突破しました。
さらに2008年には、日本高血圧学会が130/85の数値を正常値と定めたおかげで、患者数は797万人まで膨れ上がりました(14年に140未満に緩和された)。この基準値でいくと潜在患者数、つまり基準値を上回る人の推定は4300万人といわれますから、製薬会社は笑いが止まりません。高血圧症の医療費だけで2兆円となり、そのうちの9000億円が薬剤費となったのです。今では「成人の3人に1人が高血圧症」とWHOも警告する始末なのです。
しょせん、WHOも各医学研究団体も共存共栄の構図があるゆえんです。
医療機関も逆らえない「金権」構図
高血圧といえば、世界第2位の売り上げ(約500億ドル)を誇るスイスの製薬メーカー・ノバルティスファーマの日本支社で、14年6月に元社員が逮捕され、家宅捜索が行われています。これは、同社の看板薬で年間1000億円を売り上げていた高血圧治療薬「ディオバン(一般名称はバルサルタン)」が他社製品よりも優れていると見せかけるため、大学の研究機関に捏造データを渡して論文を作成させ、それを販促活動に使っていたという不正によるものでした。
このことからも明らかなように、医学界において製薬メーカーは偉大なスポンサーです。研究名目や寄付で医者や研究者を御用学者として手なずけ、学会やセミナーで自社製品に都合のよい発表をさせるなど、相互にズブズブの癒着関係があるのです。