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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

オンワード、600店閉鎖・赤字転落の英断…アパレル業界の旧態依然たる経営と決別

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師

(3)ハイクオリティ・ライフスタイル事業開発

 ビューティー事業の強化に加えて、非アパレル領域への事業拡大を続ける。親和性のある事業であれば、積極的なM&A(合併・買収)を進め、構造改革を進めながら売上を維持するためには必要な手段であろう。

 成長への布石とともに進められる不採算事業からの撤退として、国内百貨店のみならず韓国市場からは完全撤退し、米国からも主力ブランド「ジョゼフ」が撤退。欧州では不採算店を閉店させる。中国市場では、販売事業について中国の現地企業と提携し、新たな可能性を探る。海外事業の赤字を国内事業の黒字で埋める悪しき慣習から、早く脱皮する必要がある。オンワードの鬼門であり続けた海外事業の本質的改革は必須である。

4.まとめ

 オンワードHDは、従来の時代遅れのビジネスモデルとの決別を宣言した。各メディアや拙著でも指摘しているが、アパレル業界全体は旧態依然のままである。しかし、オンワードHDは大きな転換期を迎えた。21年2月期まで不採算店舗の閉店、海外事業の清算とマイナス要因が続き、特別損失として約250億円(事業整理損約30億円、減損損失約220億円)を計上した。遅いとはいえ、この大英断を下した保元社長と役員の方々に敬意を表し、熱いエールを送りたい。3年後の新生オンワードHDに大きな期待を寄せるものである。

(文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師)

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表/東京モード学園講師

たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表/東京モード学園講師

カギ&アソシエイツ 代表/スタイルアドバイザー/コンサルタント(ファッション視点からの市場創造)/東京モード学園ファッションビジネス学科講師

1952年、大阪生まれ。奈良県立大学中退。大阪で服飾雑貨卸業を起業。22歳で単身渡欧後法人化代表取締役就任、1997年香港に渡り1998年、現フォリフォリジャパングループとの合併会社取締役に就任。オロビアンコ、マンハッタンポーテージ、リモワ、アニヤ・ハインドマーチなど海外ファッションブランドをプロデュースし、日本市場の成功に導く。また、第1回東京ガールズコレクションに参画。米国の有名ファッション展示会「d&a」の日本窓口なども務めた。時代に沿ったブランディング、MD手法には定評がある。2013年にファッションビジネスのコンサルティング会社「タカギ&アソシエイツ」を設立。著書に『オロビアンコの奇跡』『超入門 日・英・中 接客会話攻略ハンドブック(共著)』(共に繊研新聞社)、『一流に見える服装術』(日本実業出版社)、『アパレルは死んだのか』(総合法令出版)『アパレル業界のしくみとビジネスがしっかりわかる教科書』(技術評論社)などがある。
コンサルタントのタカギ&アソシエイツ

Instagram:@kohichi.takagi

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