――では、店舗によって生鮮食品の管理レベルにバラつきがあるということでしょうか。スーパーの野菜売り場店員のように目利きができる熟練スタッフがいる場合はいいかもしれませんが、そういったスタッフがいない店舗、もしくはそのスタッフが勤務していない時間帯は、あくまで決められた期限に撤去することと見た目での判断しかしないということでしょうか。
担当者 さようでございます。チェーン全体で統一しているのは、期限と見た目での判断のみになります。
――ありがとうございました。
品質向上のカギ
店員が見た目で判断するものの、マニュアル上は、弁当類などと同じように期限が来たら撤去するだけということであった。
流通ジャーナリストの法理健氏は生鮮食品を扱うコンビニの事情について、次のように分析する。
「現在、コンビニの大手チェーン店では、野菜や果物の取り扱いが増えるに当たり、スーパーと同じようにマニュアルの整備や取り扱いの資格制度を充実していっているようです。ただし、結局のところ野菜や果物の品質管理は従業員へのマニュアルの基準徹底だけでは難しく、実際に商品を触ってみて重さや硬さなどの感触による目利きの部分が最も重要になります。この目利きに関しては、コンビニ店員よりもスーパーの生鮮食品売り場担当の社員などのほうに一日の長があり、スキルが高いでしょう。それは単純に勤務歴の長さだけの比較ではありません。コンビニ店員には生鮮食品の管理以外にも膨大で多岐に渡る仕事がありますが、スーパーで野菜担当をする店員ならばおのずと野菜関係の業務に集中できるわけですから、経験値が上がる環境が整っており、目利き力が高まりやすいのではないでしょうか」
カットしていない丸物野菜などは、スーパーでも品質の見極めが難しいとされている。コンビニは目利きのできる店員を増やしていくしか手はないのかもしれない。
「もちろん生鮮食品を本格的に取り扱うようになって数年経過しているコンビニも少なくありませんから、目利きのできる従業員がきちんと育っている店舗もあるでしょう。それに、あるフランチャイズのオーナーに話を聞いたところ、生鮮食品は品質管理が難しくクレームにつながりやすいため、決められた期限よりも早めに売場から下げるなどの対応をしているところもあるそうです。ですから消費者としては、最寄りのいつも利用する店舗の状況を見極めれば、生鮮食品を買うお店の候補としてコンビニも充分利用価値はあるとは思います」(同)