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シャープ、実質解体へ…ずるずる支援の最悪の再建策か、巨額税金投入と借金棒引き

文=編集部
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 シャープの中小型液晶事業のJDIとの経営統合には、独占禁止法という大きな壁が立ちはだかる。シャープとJDIの両社を合わせると、中小型液晶パネルの世界シェアは3割を超える。国ごとに独禁法に触れるかどうかの審査を受けることになるが、大型液晶に続き、中小型液晶を国策で育成している中国が待ったをかけるのは目に見えている。日の丸液晶会社が世界にすんなり承認されるかどうかは予断を許さない。

東芝の救済

 革新機構が不正会計問題で窮地に陥った東芝に手を差し伸べるのは、今回で3度目である。1回目はJDIへの出資で東芝の液晶事業のリストラを支援した。JDIの母体企業は東芝、ソニー、日立製作所である。東芝がスマートメーターをつくるランディス・ギアを買収した時も、革新機構は出資した。これが2回目の支援だ。

 そして白物家電をシャープと経営統合させることで、3回目の東芝救済を図る。

 なぜ革新機構は、ここまで東芝に執着するのか。それは首相官邸の意向が強く反映されているからだ。

 安倍首相はインドへの原発輸出に力を入れている。その先兵となるのが東芝とその子会社、米ウエスチングハウス(WH)だ。WHのダニエル・ロデリック社長兼CEO(最高経営責任者)は「インドでGE(ゼネラル・エレクトリック)が割り当てられている6基の原子炉建設を辞退するなら、わが社ですべて引き受けてもいい」と昨年末に語っている。WHは自社でインドから6基割り当てられており、合計で12基になる。東芝は記者会見で「15年間に新たな64基の原発建設を受注する」との計画を明らかにしている。

 永田町では、東芝が瀬戸際に追い込まれたら原発機器事業も革新機構が買収し、実質国有化されるのではないかというシナリオが語られている。つまり、どんな手を使ってでも東芝を救済するというのが、政府の基本方針なのだ。

JDIとルネサスの苦戦

 政府系ファンドの革新機構は、経済産業省の別動隊と呼ばれている。国が9割超も出資しているとはいえ、東芝の救済に執着するのではなく、産業界全体の発展に努めるべきだろう。

 経産省は、技術の海外流出につながる提携に否定的だが、JDIとシャープの液晶事業を統合しても“日の丸液晶”を守れるとは限らない。JDIは革新機構が主導して14年3月に上場したが、公開価格900円を一度も上回ったことがない。16年に入り下げ足を速め、上場来安値である14年10月の311円を1月8日に下回り、21日には268円まで下落した。上場してから2年になろうとしているのに、株価は公開価格の3分の1という状況が続く。

BusinessJournal編集部

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