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余談だが、この統合発送センターでは、「女性も多く比較的働きやすい環境です。その仕事が減るのは痛いですね」と、同センターでの仕事を中心に生計を立てる派遣社員のひとつは漏らす。ホームロジスティクス社員の対応も紳士的だという。そうした側面があるにしても、ニトリHDはコスト削減につながる物流機能の改革にも余念がないのだ。
海外は苦戦し、赤字解消が最大の課題
もちろん、ニトリHDは海外展開にも目を向ける。「グローバルチェーン展開の本格的なスタート」と位置づける17年に500店舗・売上高5500億円、22年に1000店舗・売上高1兆円、32年に3000店舗・売上高3兆円というビジョンを掲げている。この拡大に不可欠なのが海外での出店であるのはいうまでもない。高齢化や人口減で市場縮小を余儀なくされる国内では、いずれ限界があるからだ。
現在の海外37店舗は、台湾24、米国5、中国8。快走が続く国内とは違い、海外は苦戦しており、「米国と中国の双子の赤字」を抱えている。その「双子の赤字」を解消し、海外を成長軌道に乗せることができるかどうかが、500店、そして1000店、さらには3000店実現のカギといえる。
すでに、「将来の中国における事業拡大を図るため」として、今年6月に販売子会社、12月には商品供給・物流子会社を設立することを発表している。海外での出店は中国でのウエイトが大きいことを示唆する動き。赤字解消の道筋を描きつつあるのは確かだが、政治情勢や経済環境の変化など事業上のリスクもあるだろう。
「しばらくは、両地域ともに様子を見ながら数店舗ずつ増やしていくつもりだ。合計で20店を超えるとアジアから独自商品を輸入でき、経営も安定する。早ければ17年には赤字を解消できるかもしれない」(同書より)。
似鳥氏には、海外事業を軌道に乗せる自信と戦略があるからこその言葉だが、果たして赤字解消は実現できるのだろうか。
(文=牧瀬良/フリージャーナリスト)
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