–ところで、御社はダイバーシティー委員会を発足させるなど、社員が働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。社員の働きやすさについて、どんなイメージを描いていますか。
浜田 簡単にいえば、無駄な残業がなく、有給休暇や産前産後休暇、育児休業などの権利を遠慮なく行使できること。長期的にキャリア形成ができること。性別や年齢などの属性に関係なく、公平な職場をつくること。
その一方で、マネジメントを目指してガンガン働く人に対しては、そういう方向で育成する。あるいは、当社のような金融機関には、職人芸を持った事務職も重要なので、特別なスキルを持ったプロフェッショナルもたくさん育てていきたい。
人事の多様性とは、国籍、年齢、性別だけでなく、マネジメントコースもあればプロフェッショナルコースもあるというふうに、いろいろな意味で多様であることです。
–74歳の社員も在籍しているとうかがっています。
浜田 70代の契約社員は3~4人いますし、能力とやる気があれば、99歳の社員がいてもいいと思っています。
人事では、チームワークを重要視しています。住宅ローンの業務は、ぶ厚い書類をチェックして、審査して、足りない書類があれば揃えて照合して……というふうに、ものすごく長いプロセスです。
この業務は、チームワークなしにはできません。それぞれのチームの業務がベルトコンベア式に流れていくため、「スーパースターが自分の業務だけ片付けて、ほかは手伝いません」というスタイルでは、話になりません。外資系の投資銀行のように、「スーパースターが登場して、年収1億円を超える」という事業とは性質が違います。
HOYAをV字回復させた「プロ経営者」の手腕
–チームワークもそうですが、いろいろな制度が健全に運用されるかどうかについても、組織風土に影響される部分が大きいですね。
浜田 そうですね。社内のコミュニケーションを大事にしています。社長に就任して10カ月になりますが、全社員との面談が4周しました。昼に5~10人のグループで2回、ランチミーティングを1回、ディナーを週1~2回のペースで13回実施しています。
さらに、月1回の朝礼、会社の補助による18の部活動を創設するなど、コミュニケーションを図るために“昭和なこと”をやっています。