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また、第三者割当増資の場合、新株主は対象会社と主に直接交渉する。しかし、前述の通りもともと新株主と対象会社では利害が一致し、その両者と旧株主との利害が反する面がある。そこで、新株主と対象会社で盛り上がって気持ちよく増資の準備を進めていたのに、既存株主が急にへそをまげて頓挫することが起こる。
だからといって既存株主の利害ばかりを優先して居丈高に交渉していると、対象会社の経営陣が表面ではペコペコしながら少しずつ交渉が成り立たないようにリードしていくことになる。結局、買収側は対象会社と交渉しながら、同時に旧株主の意向にもバランスよく配慮しておいたほうがいい。そうでないと、最終局面でちゃぶ台返しが起こったりする。こういうときに思い出さなければいけないのは、ビジネスの基本中の基本で「客を間違えるな」である。
こうして今回の件は、世間一般の営業の実務で大切にされている「誰の財布の話なのか」「客を間違えるな」という基本をおろそかにした者が、思い通りにいかなかったのではないだろうか。
(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)
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