姫路城が持つ歴史のロマンも人気のポイントだろう。播磨に進出した秀吉の軍師として手腕を発揮した黒田官兵衛(孝高)は城主・黒田職隆の嫡男として姫路城で生まれた。官兵衛の勧めで、この城に入ったのが秀吉。関ヶ原の戦い後は池田輝政、その後は徳川四天王の一人・本多忠勝を父に持つ本多忠政が城主になるなど、歴史上の“有名人”が次々と登場。さまざまなエピソードや秘話にあふれ、ロマンを掻き立てる舞台となっている。
映画やドラマなどのロケ地として何度も使われ、人々の記憶の中に刻み込まれている点も大きい。NHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』、映画『大奥』(東映)、『憑神』(同)、『天地明察』(角川)、『007は二度死ぬ』(ユナイテッド・アーティスツ)などのロケも行われた。城に隣接する日本庭園「好古園」も、時代劇ドラマ『大岡越前』(TBS系)シリーズ、映画『るろうに剣心』(ワーナー・ブラザース)、インド映画『VAI RAJA VAI』(AGSエンターテイメント)などで使われた。とにかく絵になるのである。
スマホアプリで楽しみが倍増する仕掛けも
城内にはユニークな仕掛けがある。AR(拡張現実=コンピューターを利用して、 現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術)を駆使した城内案内だ。大天守をはじめ城内に8カ所のARポイントがある。そこで、事前に「姫路城大発見」というアプリケーションをダウンロードしておいたスマートフォンやタブレット端末をかざすと、CGアニメーションや映像が現れ、さまざまなコンテンツを楽しめる。
「従来の天守閣は、“お城の博物館”といった趣向が多かったのですが、姫路城では改修時に有識者を交えた検討会で展示、PRの仕方を工夫しようとなり、ARを導入しました。臨場感のあるガイドだと好評を頂いています。お孫さんがスマホを操作してお爺ちゃんがそれを見せてもらっている光景にはほのぼのとさせられました」(姫路城管理事務所の担当者)
外国人観光客向けには無料のボランティアガイドのサービスもある。駅前の観光案内所には多種多彩なパンフレットが用意され、スタッフが熱心に説明、案内してくれる。
「一過性のブームで終わらせずに、いつまでも姫路城が観光客の方々に愛され続ける存在であってほしいと願っています」(同)
3月24日には城内で桜が開花した。今年もにぎやかなシーズンがいよいよ始まる。
(文=編集部)