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しかし、当時はガソリン価格が上昇していることもあって軽自動車の燃費競争は過熱していた。日産が期待する燃費を実現するため、開発部門が偽装したとの見方は強い。中尾副社長は「燃費目標を達成できなければできないと言えばすむ話。(不正に手を染めた理由は)わからない」と話す。
前兆はあった。三菱自では次期「RVR」の開発で目標としていた燃費を達成できると報告を偽っていた。これによって次期RVRの投入時期が計画より遅れることになり、開発責任者が諭旨退職という、事実上クビになっている。今回の不正が組織ぐるみで行っていたのかは不明だが、悪い情報は報告しないで偽装するという点は通じるものがある。
燃費の不正で三菱自と日産は、対象の軽自動車の販売を停止したが、今後の調査によってはさらに不正を行っていたモデルが拡大する可能性もある。また、日産に対する補償や、燃費を偽ったことに対する顧客への補償、エコカー減税分の返納など、巨額なコストが発生する可能性もある。ブランドの失墜とともに、経営に深刻な打撃を与えることは必至だ。
前回のリコール隠し事件では、三菱重工業や東京三菱UFJ銀行などの三菱グループが支援することで経営を立て直してきた。だが、さすがに3度目ともなると「三菱グループも見捨てるのでは」(自動車メーカー)との観測もある。不正が報じられた4月20日の三菱自の株価はストップ安となった。三菱自は存亡の危機に立たされている。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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