ブラジルでIHI、三菱重、川崎重が壊滅…こぞって進出&巨額投資、こぞって巨額損失&撤退
新日鐵住金にとって高炉一貫製鉄所であるウジミナスは、トヨタ自動車などに鋼板を供給する有力な海外拠点であり、どうしてもテルニウムに負けるわけにはいかないのだ。
キリンホールディングス(HD)は15年12月期の最終損益が473億円の赤字となった。1949年の上場以来初の赤字だ。不振が続くブラジル子会社ののれん代など、1140億円の特別損失を計上したことによる。
キリンHDは2011年に3000億円を投じてブラジル大手、スキンカリオール(現ブラジルキリン)を買収した。ブラジルはビール販売量で中国、米国に次ぐ世界第3位の大市場で、年率5~6%の成長が続いていた。キリンHDは、ドル箱になるとソロバンを弾いてM&Aに踏み切った。
ところが、買収直後からブラジル経済は失速。まったく当てが外れた格好になった。株式市場では、「キリンHDはブラジルキリンを売却してブラジルから撤退する」と観測する向きが多い。BRICsの成長幻想に飛びついてブラジルに進出した日本企業は、今や満身創痍なのである。
(文=編集部)