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2023.07.11 16:27
2016.05.22 00:13
村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」
小林幸子、なぜ奇跡の復活劇?自らデジタルを核に「変化」し、新たな顧客を獲得
また、『紅白』で熱唱した曲『千本桜』は、11年に黒うさPが音声ソフト「初音ミク」を使用してネット上で公開したボーカロイドの曲でもあった。通常、プロの歌手であれば、それも大物になればなるほど、自分の歌を素材として扱われ、他の曲を歌うことに抵抗がありそうだが、小林はそうではない。「ベテラン歌手だから……」というようなこだわりはなく、それを楽しんでくれるお客さんがいるかどうかといったカスタマーセントリック(顧客中心主義)な考え方で、歌う場所や手法を問わず、メジャーシーンとインディペンデントなシーンをなんの垣根もないかのように自由自在に行き来している。昨年の『紅白』での圧倒的なツイート数も、表のTVの世界と、裏にあるニコ動などネット上のファンの世界の垣根を越えてつなげたからこそ実現できた、“ラスボスの必殺技”だろう。
生物学者チャールズ・ダーウィンが、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」と言っているように、小林は50年もの演歌歌手としてのキャリアがありながらも、変化することで新たな顧客を獲得するとともに、演歌界のパイオニアとしての確たるポジションの獲得に成功した。
「顧客のいる場に自ら赴く」「コンテクストに合わせて価値をチューニングする」「顧客起点で垣根を越える」――。どれも、「言うはやすし行うはかたし」ではあるが、デジタル化への対応、もしくは若年層獲得が喫緊の課題である企業にとっては、ラスボス小林の戦い方は参考になる点があるのではないだろうか。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)
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