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米山秀隆「不動産の真実」

分譲マンションのスラム化、激増の兆候…老朽化と空室多数で管理不能、売却も建替も困難

文=米山秀隆/富士通総研上席主任研究員
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 すでに大都市ではマンションの老朽化と管理不全に危機感を抱き始めており、東京都は今年3月に「良質なマンションストックの形成促進計画」を策定した。今後10年間の目標として、(1)管理組合による自主的かつ適正な維持管理の促進、(2)管理状況の実態把握と管理不全の予防・改善、(3)管理の良好なマンションが適正に評価される市場の形成、(4)マンションの状況に応じた適切な再生手法を選択できる環境の整備などを掲げている。主な施策としては、マンションの「基本情報登録制度」「管理状況報告制度」を創設し、それぞれ25年度末に80%以上の登録率、報告率とすることを目指している。

 しかしおそらくは、登録するのは管理組合がしっかりしているマンションで、管理組合が機能していないマンションの登録は望めない。スラム化し危険な状況になる老朽化物件が出てくるのは、こうした仕組みができても避けられない。未然の防止策を講じたとしても、行政は早晩、マンション解体の問題に正面から向き合う必要に迫られていく可能性が高い。
(文=米山秀隆/富士通総研上席主任研究員)

米山秀隆/住宅・土地アナリスト

米山秀隆/住宅・土地アナリスト

1986年筑波大学第三学群社会工学類卒業。1989年同大学大学院経営・政策科学研究科修了。野村総合研究所、富士総合研究所、富士通総研等の研究員を歴任。2016~2017年総務省統計局「住宅・土地統計調査に関する研究会」メンバー。専門は住宅・土地政策、日本経済。主な著書に、『世界の空き家対策』(編著、学芸出版社、2018年)、『捨てられる土地と家』(ウェッジ、2018年)、『縮小まちづくり』(時事通信社、2018年)、『空き家対策の実務』(共編著、有斐閣、2016年)、『限界マンション』(日本経済新聞出版社、2015年)、『空き家急増の真実』(日本経済新聞出版社、2012年)など。
米山秀隆オフィシャルサイト

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