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江間正和「飲食業界を“数字と現場”で科学する」

飲食店、価格の材料費率はたった30%? 百円均一居酒屋でも十分儲かるカラクリ

文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表

商売として成り立つ条件

 今回はセルフ式の立ち飲み屋ですが、実際のイメージは、料理の提供カウンター(場所)にラップをかけた料理を並べて置き(料理によっては保温や冷蔵ケースも利用)、お客さんが自分で自由に好きなものを選べるようなお店となります。学食・社食・カフェテリアでおなじみのスタイルです。トレイの上に好きな小鉢・小皿を乗せて最後にお会計、お会計に近い場所がドリンクのオーダーコーナー。

 お会計が済んだら立ち飲みコーナーへ。着席ではない立ち飲みですから、隣の人たちと合流したり、新しい出逢いが生まれたりするかもしれませんし、何回か通っていると常連さん同士の憩いの場にもなったりする可能性もあります。高齢化社会に向けて貢献できる可能性も高いです。

 最後に採算性ですが、以下の条件が揃えば、商売として成り立つと思われます。

・1坪当たり1万5,000円以下の家賃で15坪くらい、立ち飲みキャパ40名くらい
・材料費率40~45%設定
・常設スタッフ1名+調理アルバイト2名体制(時給1000~1200円・家庭料理をつくることができればOK)
・夜だけ7時間営業(16:00~23:00)
・週1定休日
・客単価800円(フードとドリンクで8品)
・初期投資のイメージは約360万円(売上の5%×2年半で回収、居抜き物件)
・1日3回転(40名×3回転=120名)

 上記条件のなかで採算性のポイントは「3回転」です。その点では、ちょっと前によくマスコミで取り上げられていた「俺のフレンチ」に近いビジネスモデルです。

 今回の100円均一居酒屋のからくりは極端なケースでご紹介しましたが、自分の理想や戦略、他店との差別化の意識で、150円や200円均一でもいいでしょうし、提供するものに少しテーマ性を持たせてもいいでしょう。もしかしたら客単価が上がったり、家賃が今回の設定よりも安かったり、自分も現場で少し働いてサポートしたりすれば、3回転の必要もありません。基準線だけ意識していれば、あとは「ずらし」でいろいろな飲食店をつくることができます。この記事を見て、挑戦する人が出ることを願いたいです。
(文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表)

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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