公営ギャンブルの陰りにも改善が見られ、近年では売上も底打ち増加に転じている。特に地方競馬はここ4年間平均の売上高が6.9%も増加するなど、回復が著しい。同様に競艇と中央競馬も順調に売上高が回復してきている。
その一方で、競輪とオートレースが振るわない。売上の回復も他の公営ギャンブルの後塵を拝している状況だ。このほど、経済産業省では所管である競輪とオートレースの現状について分析、今後の振興策を検討する叩き台としている。
まずは競輪の現状についてみてみよう。競輪の売上高は2014年度、15年度と2年続けて増加している。だが、安心できるような状況ではない。06年度に8611億円あった売上高は13年度に6063億円にまで落ち込んだ。1日あたり入場者数も06年度の2779人から14年度には1672人にまで減少している。
こうした減少を一概に“ファン離れ”とはいい切れない部分もある。各競輪場の経営難を主因にリストラ策の一環として選手を削減したことで、競輪の開催日数が減少したことが大きい。選手数は06年度の3598人から15年度には2380人にまで減少している。
こうした状況のなか、事業者の経営は厳しい状況が続いている。14年度には45の事業者のうち赤字は京王閣競輪を運営する東京都十一市競輪事業組合(八王子市、武蔵野市、青梅市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市の11市の構成で結成)のみだったが、13年度には4事業者が赤字だった。このため、神奈川県競輪組合、藤沢市は14年度で競輪事業から撤退した。
ミッドナイト競輪
一方で明るい材料もある。ミッドナイト競輪の開催が売上減少に歯止めを掛け、さらに車券のインターネット購入が増加したのだ。
【06年度→15年度の売上構成推移】
・当該競輪場での販売:19.6%→5.9%
・他の競輪場で開催される競輪の競輪場での販売:45.1%→36.1%
・専用場外車券売場:20.8%→25.2%
・ネット投票(電話投票を含む):14.5%→32.8%
全体の売上高が減少するなかで、ネット投票の増加が歯止めとなった。
ミッドナイト競輪は午後9時から午後11時頃まで“無観客”で開催されるもので、10年度から始まった。当初は1事業者が年6日の開催だったが、新規客の獲得にもつながり、車券をネット販売に限定したことで開催経費が抑制でき、売上増加と収益増加に貢献した。その後、年々開催業者数と開催日数が増え、15年度は16事業者が年225日も開催した。さらに、16年度は18事業者が年333日も開催する予定となっている。