筆者としては観戦客のいない競輪競争というのが、どうも無味乾燥で好きになれないのだが、単に賭けの対象としてはそれもいいのかもしれない。ただ、ミッドナイト競輪の開催は開催日数が限界に近づいており、新たな新規客の獲得策を打ち出さないと、売上が頭打ちになることは目に見えている。しばらくは試行錯誤が続くことになりそうだ。
苦境続くオートレース
一方、オートレースは15年度の売上が10年振りに増加となった。その要因は、ネット販売の売上増と専用場外車券売場を増設したことにある。しかし、オートレースも競輪同様に油断できない状況だ。レース場への入場者数は減少の一途をたどり、売上の減少にも著しいものがある。
06年度の1日当たりの入場者数は4782人だったが、15年度には3571人にまで減少した。1日当たりの売上高も06年度には1099億円だったが、14年度は668億円にまで落ち込んだ。
競輪同様にオートレース事業者の経営も厳しい。7事業者のうち、千葉県と飯塚市は赤字だ。千葉県と船橋市は、15年度末でオートレース事業から撤退する。大幅赤字の飯塚市は、15年度から民間企業と収益保証型の包括委託契約を締結した。残った5事業者の多くも、民間企業に経営を任せるような形態になっている。
だが、競輪同様にオートレースも売上の減少に歯止めが掛かりつつある。その施策のひとつが、専用場外車券売場だった。12年を皮切りに増設を開始、12年度は2カ所で1.4億円の売上だったのが、15年度には14カ所で19.2億円まで売上を伸ばした。
もうひとつの施策がネット投票(電話投票を含む)だった。
【06年度→15年度の売上構成推移】
・当該競走場での販売:43.0%→23.6%
・他の競走場で開催されるオートレースの競走場での販売:43.4%→34.8%
・ネット投票(電話投票を含む):13.7%→38.8%
競輪同様に、売上減少の歯止めとなったのはネット投票だった。
ミッドナイトオートレースに光明
そして、オートレースでもミッドナイトオートレースの開催が本格的にスタートしようとしている。赤字となった飯塚市が年27日のミッドナイトオートレースの本格実施に踏み切った。競輪同様に、無観客開催でネット販売限定だ。前年に実施されたテスト開催では、1日6レースで、3日間の開催で1.9億円(1日当たり約0.6億円)の売上があった。15年度の普通開催時の1日当たりネット売上額(約0.4億円)を大幅に上回った。