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それは、顧客に対するイメージ戦略もあるが、何よりも望んでいるのは「他社の皆さん、ぜひ採用してください」という思いしかない。その他社というのは、衣料品業界ではない。食品・日用品を扱う流通業界全体に対してだ。他社が利用することで、ICタグのコストを下げたいのだが、衣料品業界だけでは規模が小さい。これを流通業界全体で使ってくれれば、コストが劇的に安くなる。
ただし、業界がICタグを採用したセルフレジを導入するには、今でも大きな壁がある。それについては別の機会で解説するが、それを承知でファストリは挑戦している。
小さな革命
バーコードを媒体としたPOSシステムを最初に本格導入したのは、セブン-イレブンである。その当時「こんなもの成功するわけがない」という声が大きかった。しかし、しぶしぶの企業もあったが、業界をあげて協力して成功の道をつかんだ。その結果、セブンだけでなく、流通業界全体の発展に自動認識システムは多大なる貢献をした。
人の目に触れるというのは、大きなインパクトを与える。どんな方式だろうが、セルフレジが流通業界に小さな革命を与えることは間違いない。そして、遅かれ早かれ業界全体に普及していくだろう。
しかし、その反面として「雇用が失われる」という大きなデメリットもある。たとえば、セルフレジの導入で、ファストリの従業員が半分に削減されたとすると、それは社会にとっていいことなのだろうか、危惧すべきことなのだろうか。どんなものでも、便利なものを求めれば、その反動は必ずあるものだ。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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