直近で時価総額1兆円の初の大台に乗せたのは、富士重工業とユニ・チャームだ。
一方、常連だった東京、関西、中部、東北、九州の各電力会社やシャープは1兆円を割り込み、姿を消した。
「スバル」ブランドで知られる自動車メーカー、富士重工業は2月6日に1960年の上場以来、最高値を更新したと日経は書いたが、これは勇み足。1960年の高値は1460円で、2月25日につけた1443円が昨年来の高値。あと17円のところまで来たということだ。
富士重工の2月26日の株価(終値)は、前日比28円安の1374円。昨年来の安値の468円(12年1月4日)から2.9倍になった。時価総額は1兆756億円だ。
富士重工株が買われたのは、業績が好調だからである。2月6日、2013年3月期通期の業績見通しを上方修正した。売上高は従来予想より500億円増の1兆8900億円(前年同期比24.6%増)、営業利益は250億円多い1070億円(同2.4倍)、最終利益は90億円プラスの760億円(同97.6%増)。いずれも過去最高を更新する。米国市場で販売が好調なのに加え、円安が業績を押し上げた。国内では小型車インプレッサなどの販売が2ケタ増となった。
だが、好業績を背景に時価総額1兆円クラブの仲間入りした富士重工に、悩ましい問題が起きた。最新鋭中型旅客機、米ボーイング787型機のバッテリーから発火する事故が相次いだ問題で運航を停止したことだ。原因解明は長期化する様相を見せており、B787の生産に関わる日本のメーカーにも影響が及ぶことになりそうだ。
富士重工は、B787の左右の主翼と胴体を結ぶ重要な部位である中央翼をつくっている。B787の中央翼は愛知県半田市の工場で生産。07年1月に出荷を開始、12年8月までに100機分を生産した。ボーイングが13年末にB787の生産を月産10機に引き上げる方針に合わせて、生産ラインを1本増やして3本にした。B787の生産再開がいつになるかは不透明で、影響は避けられない。好業績に冷水を浴びせられる格好となった。
紙オムツ、生理用品で国内トップシェアを誇る日用品メーカー、ユニ・チャームの2月19日の株価(終値)は前日比120円高の5520円。この日の高値は5620円で昨年来の高値を更新した。昨年来安値の3745円(12年1月16日)から、終値の比較で47%上昇した。26日の終値は5420円。時価総額は1兆1216億円である。
ユニ・チャームは業績も好調だ。1月31日に発表した2012年4〜12月期連結決算の売上高は前年同期比15.4%増の3644億円、営業利益は同11.5%増の455億円、純利益は2倍強の298億円だった。インドネシアや中国などアジアを中心に、海外で紙オムツや生理用品の販売が好調。円安・ドル高で23億円の為替差益が発生した。
地域別で増収率が大きかったのは、アジアと中東。現地通貨ベースでインドネシアが49%、中国が27%、タイが8%の増収だ。