妻や彼女のショッピングに付き合わされることほど、男性にとって苦痛なものはない。女性が「ねぇ、この服どう?」などと聞いてきて、いい加減に返事でもしようものなら、トラブルの発端ともなりかねない。
そんな世の男たちを救うべく、中国福建省の省都・福州市のショッピングセンターが、粋な計らいをして見せた。ショッピングセンターの一角にスペースを設け、妻のショッピングに付き合わされて来た夫たちのための休憩所にしたのである。
その名も「旦那預かり所」。あくまでも妻目線のネーミングなのはご愛嬌だが、休憩所にはイスとともに無料のWi-Fiが設置され、充電のためのコンセントまで付いている。妻が買い物している間、ゆっくり座ってスマートフォンでインターネットをしていられるのだから、夫にとってはオアシスのような場所だ。
中国事情に詳しいライターの吉井透氏は、「旦那預かり所」を設置したショッピングセンター側の意図をこう説明する。
「あまり話題になっていませんが、2~3年前から北京などのショッピングセンターに同じような場所が設置されています。ショッピングセンター側からしてみれば、男性へのサービスというよりも、女性たちに夫の目を気にせずたくさん買い物をしてもらいたいという算段でしょう。そうでなければ、こんな無駄なスペースをつくるはずがないですから」
子連れ客も気兼ねなくショッピングが楽しめるよう、託児所を併設したショッピングモールは日本にも存在するが、さすがに同行した男性を預かってくれるサービスは聞いたことがない。
ちなみに、今のところこの「旦那預かり所」を利用する男性の数はまだ少ないようである。目を離しているスキに、妻が勝手に高い服を買ってしまうのを恐れているのかもしれない。結局のところ、女性の買い物に同行する男性の苦労は尽きないようだ。
(取材・文=佐久間賢三)