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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

究極のアイス「エッセルスーパーカップ」、バカ売れが止まらない!大容量&低価格&味濃厚の奇跡

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 容器では、商品をより大きく見せる工夫もしたという。

「それまでのカップアイスは、昔の牛乳の紙製のふたと同じ『落としぶた』が主流でしたが、天面が広い『かぶせぶた』を取り入れました。100円アイスの常識を変える『この味で、この価格』のために行った、さまざまな施策がうまくいったのです」(同)

 当時も今もコアターゲットは中学生、高校生だという。現在30代のカメラマンからは、「発売時は中学2年で、野球部の部活後にみんなで食べていた」という話も聞いた。実際にはスーパーで主婦が買うケースが多く、子どものために購入しているようだ。

「冬アイス」の定着と、新たな人気味

 アイス業界におけるもうひとつの好調理由は「冬アイス」人気だ。それを底上げしたテレビ番組がある。15年12月15日に放映された「マツコの知らない世界」(TBS系列)で、番組内で紹介された商品を中心にアイスの売り上げが急増。早期終売となった限定品もあった。

「同番組の影響で『冬アイス』という言葉も、かなり世の中に浸透しました」(同)

 冬アイスという言葉自体は、以前から業界でも訴求しており、近年は夏場に天候不順で最需要期の売り上げが伸びなくても、暖房の環境が整った冬場の売上増で落ち込みをカバーする展開にもなっている。メーカー側には、最盛期の夏を終えて、秋以降はラインに余裕もできるため、腰を据えて高額商品の企画開発もしやすい側面がある。

 夏と冬ではアイスに対する消費者意識も異なる。夏にアイスを食べる理由で多いのは「暑さしのぎ」だが、冬は「癒し」「ごほうび」といった理由が多くなる。それもあって、プレミアムアイスと呼ばれる200円前後の商品も売れる。「夏場の売り上げが圧倒的に氷菓系になるのとは違い、プレミアムアイスは春夏と秋冬の売上差がほとんどない」(大手流通)という。

 エッセルではプレミアムアイスを出していないが、15年11月にシーズンフレーバーとして発売した「レアチーズケーキ」味が予想以上の売れ行きを示した。インターネット上でも「結構ウマイ」といった書き込みが目立った。

「この商品はクッキー入りのチーズアイスに、ほんのり香るレモンの風味でも訴求しました。かつての100円アイスが130円アイスの時代となり、特に秋冬はよりデザート性の高いものが受け入れられるなど、消費者の好みは広がったと感じています」(廣永氏)

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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