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ベネッセ、経営危機的状況突入へ…会員激減&赤字拡大、脱却図ったDM商法へ逆戻り

文=編集部

 原田氏は16年5月に引責辞任を発表し、6月の株主総会で会社を去った。だが、経営者にとって最も大事な株主総会を欠席したのはいただけない。難関に立ち向かうのがプロ経営者の真髄であるべきなのに、原田氏は尻尾を巻いて逃げたのだ。

デジタル教材の開発に失敗

 進研ゼミの会員数は12年4月まで400万人程度で推移していたが、教材のデジタル化が進み、その翌年から年間20万人のペースで減り始める緊急事態となった。教材のデジタル化を早期に成功させるために原田氏は招かれた。ところが、その矢先に顧客情報漏洩事件が起こり、15年4月には271万人に急減した。

 原田氏にとっての喫緊の課題は、進研ゼミの会員数を浮上させることだった。教育業界は4月の新学期が勝負どころである。新しく入学・進級する小中学生や高校生を獲得できるかどうかで決まる。1年間の業績は、4月の会員数でほぼ決まるといっても過言ではない。

 原田氏が反転攻勢の武器としたのが「進研ゼミプラス」という新しい教材である。紙のテキストとiPadを組み合わせたハイブリッド教材である。ところが、開発を急ぐあまり、デモ機がまだ完成していない16年2月に体験会を強行した。新学期に新会員を獲得するために急いだわけだ。

 その結果、16年4月の進研ゼミプラスの新規会員数は伸びなかった。進研ゼミ、こどもちゃれんじの会員数は16年4月時点で243万人と前年同月に比べ10%減少した。顧客情報漏洩が発覚する前の14年4月に比べると33%減っており、原田改革は結果が伴わなかったといえる。

ダイレクトメールという旧来の手法に回帰

 原田氏の後任社長には、副社長の福原賢一氏が昇格した。福原氏は、福武家との関係が深い。1976年、京都大学法学部を卒業し野村證券に入社。ノムラインターナショナルリミテッドロンドンに勤務。88年に帰国し投資銀行部門に所属した後、海外プロジェクト室長、機関投資家営業部長、金融研究所長兼投資調査部長等を務めた後、2000年に取締役に就任。野村リサーチ・アンド・アドバイザリー社長、野村ヒューマン・キャピタル・ソリューション社長などを歴任した。

 04年、ベネッセコーポレーション(現ベネッセHD)に入社し、ベネッセスタイルケア社長、ベネッセコーポレーション副会長兼CEO補佐を経て、09年10月から副社長に就任。12年からは、公益財団法人福武財団の副理事長を兼務した。金融のプロとして福武氏に“節税対策”を指南した。

BusinessJournal編集部

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