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小売から金融事業に転換した丸井
丸井は小売業なのか、それとも小売で集客して金融業で儲けるビジネスモデルを追求しているのか。その点において、丸井は実に明確だ。今年5月に発表した今後5年間の中期経営計画において、次のように書いている。
「当社グループは、創業以来、小売とカードが一体となったビジネスモデルを進化させてまいりましたが、グループの収益構造は2006年のエポスカード発行開始により、これまでの小売中心からカード中心に大きく転換し、安定的な成長を可能にする事業構造が実現しました」
ショッピングはあくまで集客の手段であり、その結果として構築された顧客ベースをもとに金融サービスを実行する。粗利益率が低く、在庫リスクも高く、販売経費も高い小売業の低利益性は、利益性の高い金融サービスを創造することで正当化される。これはこれで、ひとつのビジネスモデルとしてよいのだろう。
問題は、小売業が始める金融業は、小売業で構築した顧客ベースが基本ということだ。顧客ベースは、常に新規客が入ってこないと長期的に小さくなっていく。小売業が不振で新規客が減ると、顧客ベースも小さくなる。楽天の言葉でいえば、経済圏が縮小してしまうのだ。経済圏に入ってくる顧客の数が減ることで、循環する顧客ベースが次第に縮小していってしまう。
だから、シアーズのように本業がダメになったからといって、「じゃあ、小売業をやめて金融サービス会社になりましょう」ということにはならない。反対に、「利益を出している金融事業を売却して、そのお金で小売を立て直しましょう」となるのだ。
次回は、楽天の金融事業についてみていきたい。
(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授)
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