日本郵便の17年3月通期の連結純利益の見通しは120億円。同じ郵政グループのゆうちょ銀行の3000億円、かんぽ生命保険の860億円に比べて、かなり見劣りする。赤字事業を抱えておく余裕はないというのが、日本郵便ファイナンスを売却する本当の理由だ。
最大のネックは人件費だ。配達は機械化ができないため、とりあえず1月2日の年賀状の配達を取り止めると発表した。人件費の負担が大きいと判断したためだ。
GMOはネット銀行に進出
日本郵便ファイナンスを買収するGMOは傘下に決済代行会社のGMOペイメントゲートウェイを持つ。同社が日本郵便ファイナンスの加盟店向けサービスを引き継ぐ。
GMOペイメントの決済代行は物販やアパレルなどの加盟店数が増加したため、16年6月末の店舗数は7万2569店。4~6月期の決済処理件数は2億2700万件、処理金額は5400億円に上る。
16年9月通期の連結決算の売上高(手数料収入)は前期比26%増の114億円、純利益は26%増の23億円と2ケタの増収増益を見込む。
グループの持ち株会社であるGMOインターネットの16年1~6月期の連結決算の売上高は前年同期比5%増の667億円、営業利益は2%増の86億円、純利益が49%減の36億円だった。
稼ぎ頭だったネット証券はFXの取引高が前期と比べて減少。前年同期に計上した子会社売却による特別利益がなくなり減益決算となった。
GMOは、あおぞら銀行と組んで17年中にネット銀行業務を始める。具体的には、あおぞら銀行傘下のあおぞら信託銀行の第三者割当増資を引き受け、議決権ベースで14.9%出資する。これとは別に、あおぞら信託銀行が発行する種類株を引き受け、数年かけて出資比率を50%に引き上げる。共同で運営するネット銀行は中小銀行向けの資金決済や融資を手掛ける。GMOと取引がある8万社が顧客の中心になる。
ネット銀行は、金融機関が脅威と感じる存在になってきた。ネット専業の楽天銀行の親会社、楽天が自社の電子モールである楽天市場に出店する事業者に、楽天カードを通じた融資を開始した。流通と連係した融資を成長の柱に据える動きだ。
GMOがあおぞら信託銀行と提携してネット銀行に進出するのも同じ流れだ。自社のネット顧客を、融資を通じて囲い込むのが狙いだろう。GMOは金融を経営の第3の柱にする。
(文=編集部)