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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

半導体の盟主、インテルの没落…4年後に韓国サムスンが世界首位逆転する理由

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 04年当時、まだスマホは存在していなかった。したがって、iPhoneがどれだけ売れるかまったく予想できなかった。さらに、インテルのつくるPC用プロセッサは200~300ドルで、たった10ドルのプロセッサではビジネスにならないのではないか。そう判断したオッテリーニは、アップルの申し出を断ってしまった。

 ところが、インテルの予想に反してiPhoneはスマホブームを巻き起こした。その上、スマホがPCを駆逐し始めたため、インテルの基幹ビジネスであるPC用プロセッサまでがジリ貧になっていった。インテルは2001年からの念願だった携帯(スマホ)用プロセッサへの参入という、千載一遇のチャンスを逃した。その責任を取って、オッテリーニはクビになった。

成長が完全に止まったインテル

 13年、6代目CEOにブライアン・クルザニッチが就任した。インテル史上最大の難題を背負ったCEOと呼ばれたクルザニッチは、スマホに乗り遅れて苦境に陥ったインテルを立て直すべく、矢継ぎ早に手を打った。

 12年に、PC用プロセッサの生産減を穴埋めし工場の稼働率を向上させるために、新たに半導体の受託生産(ファンドリー)ビジネスを開始した。15年には、サーバー用プロセッサビジネスを強化するために米アルテラを買収した。また、マイクロンと共同で新型メモリ「3D Xpoint(スリーディークロスポイント)」を開発した。

 ところが図1を見れば明らかなように、2011年以降、インテルの売上高は完全に成長が止まってしまった。PC用プロセッサは縮小を続け、スマホ用プロセッサに再参入するも毎年大赤字を計上し、新たに始めたファンドリービジネスもTSMCにまるで敵わない。サーバー用プロセッサだけが好調だが、インテル全体の売上高を増大するには至っていない。

 そして、インテルがもたついている間に、2位のサムスン、3位のTSMCの足音がその背後に迫ってきたのである。

Xデーは20年

 半導体売上高トップ3の売上高を図2に示す。特に注目すべきは、直近の12年から15年の売上高の傾きである。インテルがほとんど成長していないのに対して、サムスンとTSMCは、急角度で売上高を増大させている。

 この成長率が続くと仮定すると、東京五輪が開催される20年には、サムスンがインテルを抜いて1位に躍り出る。さらに27年には、インテルはTSMCにも抜かれて3位に転落する。

 11年先のTSMCの2位浮上予測は少々乱暴かもしれないが、4年後のサムスンの首位奪取は、相当確度が高いと考えている。その根拠を以下に示す。

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