サムスンの成長エンジンはNAND
IoT(Inetrnet of Things:モノのインターネット)が普及し始め、世の中はビッグデータの時代を迎えつつある。15年時点で、8ZB(ゼタ・バイト)のデータが生み出され、そのうち約15%がストレージされているという。ZBとは、10の21乗を意味し、要するにとてつもないデータ量だ。
8ZB×15%=1.2ZBがストレージされているが、その内訳は90%がHDD、10%がNANDフラッシュメモリであるという。ちなみにNANDフラッシュメモリとは、東芝が1987年に発明した電源を切っても記憶が消えないメモリで、その特徴を生かしてデジタルカメラ、iPod、携帯電話、スマホ、PCなどに次々と採用され市場を拡大してきた。
現在、世界でNANDを生産しているのは、サムスン、韓国SKハイニックス、米マイクロン、東芝・米ウエスタンデジタルの4グループあるが、その合計の生産能力は、300mmウエハで約150万枚である。これは、月産10万枚の処理能力を持つ巨大工場(ギガファブ)が15棟あることを意味する。つまり、8ZB×15%×10%=0.12ZBのデータをストレージするために必要なNANDを生産するための工場の生産能力は、月産150万枚であるということだ。
さて、東京五輪が開催される20年に、人類が生み出すビッグデータはどのくらいになっているか。また、そのうちストレージされるのはどの程度か。さらに、HDDとNANDの割合はどの程度になっていると予測されるか。そして、そのNANDを生産するために必要な処理能力及び工場数はどのくらい必要か。
20年に200棟以上のギガファブが必要
米EMCによれば、20年に人類が生み出すデータ量は44ZBであり、そのうち解析可能なデータ量は15ZBであるという。つまり、15ZBのストレージの需要があるということである。また、データ検索の高速化が求められていることから、動作速度の速いNANDが急速にHDDを置き換え始めている。その結果、20年にはストレージの50~70%がNANDになると予測されている。
現在、NANDは2次元の微細化が困難になってきたため、メモリセルを縦に積む3次元NANDの開発と量産が進行中であり、20年には現在の4倍の集積度の3次元NANDが生産されていると思われる。