また、公道でセグウェイに乗る場合、インストラクターによる事前の講習や保安要員を同行させることも義務づけられている。それにもかかわらず、日本でも、ごくまれにミニセグウェイなどのモビリティに乗って街中を走る若者を見かけるが、彼らはある意味、警察の目をかいくぐって勝手に乗っているだけなのだ。
「誤解されている方も多いかもしれませんが、『ミニセグウェイ』と呼ばれている一連の乗り物は、当社とはまったく関係のない、特許も商標もすべて無視したコピー商品です。そもそも、我々の理解ではミニセグウェイのようなものを搭乗型移動支援ロボットとは考えておりません。中国やヨーロッパでは普通に乗っている人がたくさんいますが、私どもが気になるのは、走行中の事故や怪我はもちろん、これらのコピー商品が海外でたびたび爆発したり、火事を起こしたりしているという事実です。こうしたことがキッカケで、イギリスではミニセグウェイ関係のものが、すべての港で差し押さえになったほか、アメリカでも特許の問題で販売そのものが禁止されました」(同)
セグウェイ社が目指すのは、2020年東京オリンピックまでの規制緩和
実際には、ミニセグウェイはセグウェイとは一切関係がないにもかかわらず、何か事件があるたびに、セグウェイの名前が引き合いに出されてきた。たとえば、今年5月にも大阪で、ミニセグウェイを充電中に住宅が全焼した事件があったが、このときも朝日新聞に、『搭乗型移動支援ロボット、セグウェイ 充電中に火災』と報じられた(のちに記事は訂正された)。
また、15年8月の世界陸上北京大会でも、「セグウェイ(に乗ったカメラマン)が、ウサイン・ボルトに激突」との報道が世間を賑わせたが、あのときカメラマンが乗っていた乗り物もセグウェイではない。このように、セグウェイに似た電動の乗り物が、すべて一緒くたにされている現状があるのだ。
「ミニセグウェイのような乗り物が多く走る中国などに行くと特に感じるのですが、やはり、なんのルールもリテラシーもマナーもない状態で乗るのは危ないですし、怪我する人も多いと聞きます。一般ユーザーの皆様が買えるものが出てくるのは大変喜ばしいことだとは思いますが、なんの教育も行われないまま、各々が自由に公道に出てしまうのはいかがなものかと。今後、一般ユーザーがどんどん小さいものを追い求め始めたら中国や欧州のような状況になっていくのか、そうなった場合、全部が規制の対象になるのか、私どもの立場としては慎重に見守っていきたいところです。セグウェイ社としましては、規制緩和の道をあきらめるつもりはありませんし、2020年の東京オリンピックまでには規制緩和されてほしいと思っております」(同)
WALKCARが日本でどこまで普及するかも含め、近い将来、日本でも電動モビリティの公道での走行が認められる日が来るのか、今後も注目だ。
(文=編集部)