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こういう人はもともとは優秀なので、人材不足に悩むような中小企業に転職すれば、金銭面では今よりも恵まれないかもしれませんが、エースとして社内外から一目置かれる存在になれるかもしれません。にもかかわらず今の企業にしがみつき、気がつけば10~20年間、誰からも褒められない日々が続いている人もいます。良い給料はそれと引き換えの条件のようにとらえる人も、いるのかもしれません。
自分にとってのお金の価値を見定める
もっとも、金銭的に恵まれることは良いことであり、年齢を重ねるごとにその大切さを感じる機会も増えてきます。そうなると、何に重きを置くかという、人それぞれの価値観が大切になってきます。もちろんいつもプラスマイナスでゼロになっているわけではなく、金銭的にも恵まれて仕事にも満足できる状態、さらに時間にも余裕があるという理想を実現している人もいます。ただし、組織で同期や同世代を見渡した時に、そうした人は年々減っていきます。
大切なことは、周りを見過ぎずに自分の価値観がどんなものであるのかを認識し、素直にそれに従うことだと思います。高学歴で立派な会社に勤めている著者の30代後半の友人が先日、旅費精算書の書き方について、中黒を使うのか句読点を使うのかで50代の上司と30分激論の末に、最後は「だからお前はダメなんだ」と説教されたという話を酒の席で話のネタにしていました。しかしその友人は、「まあでもいいよ、そんなんでも給料出てるから文句言えないよ。あはは。あ、明日ゴルフだ」などと言って、割り切っていました。
一方で、昼間はきちんと勤務していても、少し酒が入ると延々と仕事や自分の境遇について愚痴をこぼして悪酔いする人もいます。そうであれば環境を変えればいいと思うのですが、具体的な行動を起こしません。やがては顔つきも変わってきて、以前からの友人でも話しにくい雰囲気を醸し出してしまいます。
少し極端な例を引き合いに出してしまいましたが、転職しようかどうかと悩むタイミングくらいでしか、こうした自分の価値観と向き合う機会はないと思います。そうした方にとって、ささやかながら参考材料になれば幸いです。
(文=中沢光昭/経営コンサルタント)
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