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電通社長の「電通否定」方針で内部崩壊の兆候…経営陣と社員の「断絶」深まる

文=編集部
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 働き方改革がもっとも必要な企業のモデルに合致するのが電通の案件なのである。官邸の“お墨付き”を得て、カトクは強制捜査に動いた。一斉捜査に当たった捜査員は計90人という大規模なものである。広告業界では一罰百戒を狙った“国策捜査”と受け取る向きが少なくない。電通の業績にこの問題が影を落とすのは、来期の2017年12月期からだ。

電通の企業体質そのものが問題

 カトクは、過労自殺は電通の企業体質そのものに根ざしていると判断した。

 高橋まつりさんの遺族側は月に100時間を超える長時間労働があったとしている。連続53時間勤務を疑わせる入退記録も残されている。「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「会議中に眠そうな顔をするのは管理ができていない」「髪がボサボサ、目が充血したまま出勤するな」といった上司のパワハラ的言動があったとも遺族側は述べている。

 電通の労使が合意した残業時間の上限は70時間。しかし、高橋さんの自己申告に基づく会社の記録では、「69.9時間」(10月)、「69.5時間」(11月)と記載されており、遺族側は「会社が過少申告させていた」と主張した。

 カトクの調査では、1カ月当たりの残業時間を実際より数十時間少なく申告する行為が常態化していた。100時間以上も過少申告していた社員も30人を超えた。

 労働基準法では、残業や休日労働する場合、通常の1.25倍といった所定の割増賃金を支払うように義務付けられている。労働時間を過少申告していた社員に残業代を払わなかった賃金未払い問題でも捜査している。

電通社長が不磨の大典「鬼十則」を否定

 電通の石井直社長はカトクの家宅捜索を受けた11月7日、本社内のホールで社員に改革方針を説明した。その様子は全国の支社で中継された。

 報道によると、石井社長は「従来の働き方は社会に認められる状態ではない」と業務量や組織運営の見直し、多様の働き方を認めるなど変革の姿勢を強調したという。

 11月8日付毎日新聞は、社員の戸惑いを伝えている。

<50歳代の男性社員は「『電通人』の行動の基本原則は鬼十則。それに沿った行動を求められてきたのに、社長の説明は改革というより自己否定とも取れる内容。違和感を覚える」と首をひねる>

BusinessJournal編集部

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