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あの吉田カバンが「究極のバッグ」発売…もはやスーツにリュック姿が主流、「肩掛け」の終わり?

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

あの吉田カバンが「究極のバッグ」発売…もはやスーツにリュック姿が主流、「肩掛け」の終わり?の画像3展示会で発表された「ポーターディライト」シリーズ

ビジネスシーンで進む「カジュアル化」

 クールビズですごした夏や秋が終わり、上着が心地よい時季となったが、ビジネスパーソンの仕事服もカジュアル化が進んでいる。金融機関など固い業種の会社員はともかく、以前に比べて冬でもスーツを着る人が減り、ネクタイをしない会社員が増えた。

 若い世代だけではない。先日会った中小企業の役員を務める60代男性(元大手企業の役員)は、こんな話をしていた。

「もう何年もスーツは買っていません。代わりに買うのがジャケットで、近年はジャケットにパンツスタイルで会社に行くようになりました」

 アパレル業界について意見交換をするなかで出てきた言葉だが、この人のように、いわゆる「ジャケパン」で仕事をする人が中高年世代でも増えているのだ。

 そうした消費者意識の変化もあり、スーツ市場は縮小している。4月12日付本連載記事『スーツが売れない…地獄的不況の業界で、2着4万円オーダーメイドがバカ売れの店が!』でも紹介したが、紳士用スーツは2007年度の3099億円をピークに市場が縮小し、13年度は2183億円にまで落ち込んでいる。

 スーツ姿でリュックという通勤スタイルも、ジャケパン愛用の消費者心理に近いものがある。ただし、夏のクールビズの基本スタイルがポロシャツを含めた「襟付きのシャツ」となり、一部の自由な職場を除いてはTシャツ姿で執務とはならなかったように、カジュアル化も、なんでもありとはいかないようだ。

あの吉田カバンが「究極のバッグ」発売…もはやスーツにリュック姿が主流、「肩掛け」の終わり?の画像480周年を打ち出した当時の吉田カバン本社(2013年12月撮影)

キャリーバッグもソフトケースタイプが人気となるか

 1935年に創業された吉田カバンは、2015年に創業80年を迎えた。当時は写真のように本社ビルのディスプレーもそれを打ち出していた。それに比べると、今回はアニバーサリー感を打ち出したコラボレーション企画も少なく、展示内容のコンセプトも「次なる時代に向けて」(同社)だという。

 そんななかで同社が打ち出したひとつが、「ポーター ハイブリッド」シリーズから10シーズン(5年)ぶりに発表したキャリーケースだ。「これまで四角いタイプが多かったのですが、軽くて丈夫なボストンキャリーバッグタイプを提案しました」(同社)

 パソコンやモバイル機器などカバンに入れる荷物が増えるにつれて、出張時でなくてもキャリーバッグを持ち運ぶ人が増えた。そうなると、カバン自体も軽量化が求められる。1983年の発売以来、大ベストセラーとなったポーター「タンカー」シリーズでビジネスバッグの軽量化・ソフト化を提案した同社らしさも感じられる。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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