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今回、閉園にあたりメディアに対して「09年度からは黒字が続き、15年度は経営を請け負ってから最高益だった」(西日本新聞記事より)と述べている。スペースワールドが閉園に追い込まれたのは、土地を保有する新日鉄住金との賃貸契約更新が不調に終わったからとされている。
一般的に、経営破綻したリゾート施設の運営を任せる場合は、破格の優遇措置を取ることが多い。長崎県佐世保市のリゾート施設、ハウステンボスを旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)に譲渡した時が、その典型例だ。
旧ハウステンボスの債権は、銀行や地元企業らの債権者が放棄し、債務ゼロの状態でHISが引き受けた。さらに、佐世保市から固定資産税額に相当する再生支援交付金を10年間受け取れることになった。固定資産税を実質ゼロにする優遇措置だ。ハウステンボスは短期間で黒字に転換し、再生支援交付金を返上した。
スペースワールドも同様に、スペースワールド社の債務は新日鉄住金が引き受け、借金ゼロの状態で加森観光が引き受けた。土地の使用に関する契約内容は公開されていないが、通常は、再建が軌道に乗るまでは無償か、無償に近いかたちになるため、スペースワールドも同様だったと考えられる。
しかし、営業権譲渡から10年たち、契約の更新期を迎えるにあたり、新日鉄住金は相場での賃貸契約の更新を求めたが、土地の賃貸価格が上がれば赤字になることから加森観光が難色を示し、交渉が決裂して閉園することになったのではないかという見方が強い。
新日鉄住金は、利益に結びつく新たな賃貸先を探すとしているが、地元の北九州市は今後の土地の有効利用について、「市の活性化、雇用確保につながるものにしてほしい」と要請している。
スペースワールドにピリオドを打つのが、あまりに遅過ぎたとの批判は多い。地元の反発を恐れて、経済原則を貫き通せなかったことが原因との辛辣な見方もある。
(文=編集部)
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