「肩こりの原因は霊にある」というようなデマ記事が掲載されていたことが発覚し、医療に関するキュレーションサイト「WELQ」が閉鎖となり、それをきっかけに多数のキュレーションサイトが閉鎖に追い込まれる事件が起きてから約3カ月が経過した。
物事には表と裏がある。表向きにマスメディアが報じたことは、パクリ記事は淘汰されなければならないということだ。キュレーションメディアといえば聞こえはいいが、安い原稿料で雇われたライターが人気のある記事の中身をパクり、報道写真などもそのまま転載して掲載していた。
それでページビューが稼げれば本家よりも儲かる、というのがキュレーションメディアの実態だった。そのようなパクリサイトは許すべきではないというムーブメントが表の部分で起きたことで、大量にあったパクリまとめサイトが縮小し、これらの行動の成果は一定規模であがったといえる。
しかし、物事には裏がある。大量のキュレーションサイトが撲滅されネットメディアが浄化された後で何が起こるのか?
今回の事件で、多くのマスメディアがWELQの問題を学んだことで、少なからずメディア企業が気づいてしまったのが、「WELQのビジネスモデルが画期的に出来が良い」ということだった。
WELQがなくなった今、正規のマスメディアがWELQのビジネスモデルをパクってしまえば、お金を荒稼ぎすることができる。テレビ、新聞、雑誌など凋落が激しいオールドメディアにもWELQモデルは転用できる。それに気づいたマスコミ人がたくさんいて、メディア大手の経営企画部ではその利用についての検討が始まっている。
メディアに生まれた、巨大な空白地帯
WELQのビジネスモデルとは何か? 改めて説明すると、こういうことになる。
メディアの本質は広告ビジネスだ。今、みなさんが読んでいるネットメディアの記事の多くも、ビジネスモデルとしては無料でコンテンツを公開して、記事の周辺に貼られた広告がクリックされることでお金を稼いでいる。この本質はネットメディアでも雑誌でもテレビでも同じものだ。
これまでのメディアのビジネスモデルは、おもしろいコンテンツを集めることでユーザーを集め、たくさんユーザーが集まることにより、一定の確率で「たくさんの反応が期待できるだろう」という理由で広告を集めるというモデルだった。
ところが、WELQは考え方を180度変えてみた。