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古いテレビ界の常識を覆す
そしてネット以上にこのWELQのビジネスモデルはテレビにも向いている。かつて『発掘!あるある大事典』(フジテレビ系)というテレビ番組は食品の売れ行きに重大な影響をおよぼしていた。寒天で痩せるという放送回の直後にはスーパーの棚から寒天が消え、納豆が痩せるとなると納豆が消えるという現象が全国で起きた。
結局、この納豆で痩せる回の内容が捏造であったことが問題になって番組は打ち切りになるのだが、問題の本質はそこではない。この事件も裏の学びは、テレビが「キーワードから逆算する」ビジネスモデルに切り替わった場合のほうが、テレビ局は儲かる可能性があるということなのだ。
実際、今、世の中で一番お金を持っているのはシニアや高齢者で、そういった視聴者はBSの時代劇の再放送を好んで視聴している。そのような番組のスポンサーは健康食品メーカーばかりだが、それがテレビ業界で今一番スポンサーニーズに合っている番組なのだ。
古いテレビ界の常識では、視聴率が2%の番組よりも10%の番組のほうがはるかに価値が高い。しかし、WELQがもたらした新しい常識では、視聴率が2%の番組でも「ヘルニア」に関心を持っている視聴者ばかりが見ている番組なら、そのほうが一般視聴者が10%見ている番組よりも「広告メディア」としての価値は高いかもしれないのだ。
こうしてWELQは消えても、その影響は水面下に深く浸透し始めている。
(文=鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役)
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