かつてはパイロットのミスが原因の事故は多かったが、パイロット訓練に安全管理が導入されたこと、飛行機の改良と地上管制の発達で、事故率は減っているという。
「LCCではありませんが、韓国アシアナ航空では13年にサンフランシスコ国際空港で着陸に失敗、3人の乗客が死亡したほか、15年には広島空港でも着陸を失敗し、28人の負傷者が出ました。どちらもパイロットが原因の事故ですから、やはりパイロットのレベルの問題は厳然として存在します」(同)
さらに、乗客にとっては不安を感じるかもしれない以下の事実も存在するという。
「日本資本のLCCでも、人手不足の穴埋めに外国人パイロットを雇用することがあります。問題は、彼らはより有利な条件を出されれば、簡単に転職してしまうことです。そうして再び穴が生じた際、レベルの低い外国人パイロットを雇用してしまう危険性はゼロではありません。さらに海外のLCCとなると、パイロットの技術レベルがどうなのか、不安はありますね」(同)
欠航問題
「文春」記事でも指摘されているが、4月7日にバニラエアのフィリピン・セブ島行きのJW601便が欠航となった。原因はパイロットの体調不良というものだった。
「『文春』の記事は、具体的内容の真偽はともかくとして、LCCにおける厳しい勤務実態を指摘したところは首肯できます。ぎりぎりの人数で運航するビジネスモデルですから、パイロットが急病になると飛行機を飛ばせません。全日空や日本航空といったフルサービスキャリア(FSC)の場合、バックアップのパイロットを用意しています。急な呼び出しであっても2時間ぐらいの遅れで出発するわけです」
だからこそLCCは安いのだ。パイロットにトラブルが起きても、飛行機が故障しても、すぐに欠航となる。バックアップを準備していないことで、大きなコストカットを実現している面は否定できない。
「LCCを『安かろう悪かろう』と批判するのは言い過ぎで、『安いのには理由がある』といったところでしょう。先に見たように欠航のリスクがありますから、たとえば海外出張で利用しようと考えるビジネスパーソンは少ないでしょう」(同)
いずれにせよ、FSCかLCCのどちらを利用するかは、利用シーンなどを考慮して、都度消費者個人で判断しなければならないことは、いうまでもない。
(文=編集部)