「広域移動者の“数”が多いのは“関東”と“近畿”⼊国者。また、“割合”は本州中⼼部に位置する“信越”・“北陸”・“東海”が多い。⼀⽅、“北海道”・“沖縄”・“九州”は、狭域のみの移動者が⾮常に多い」(訪日外国人旅行者移動実態調査より)
関東エリアから入国した訪日外国人旅行者の数は253万人。このうち広域に移動するのは96.2万人で38%。一人当たりの滞在都道府県数は2.9か所だ。4割近い訪日外国人が都心から地方に移動しているが、移動先からそのまま出国するのは27.5万人(10.9%)しかいないから、出入国だけを見ると関東エリアからあまり大きな移動をしていないようにみえるということだ。
ではどこに行っているのか。近畿35.8万人(14.2%)、東海30.1万人(11.9%)、信越地方9.6万人(3.8%)、北海道7.2万人(2.8%)、となっている。
「⼊国3~4⽇⽬が、北海道・東北滞在の移動のピーク。他は信越→北陸、東海→近畿と徐々に広がる」(同)
近畿エリアはどうだろう。入国者数は160.7万人で広域移動者数は47.1万人(29.3%)、一人当たりの滞在都道府県数は2.8か所でそのまま出国する人の数は27.7万人(17.2%)と関東エリアよりも高い。「⼊国3⽇⽬に東海滞在がピークを迎えた後、関東へ広がる。多くは、 6⽇⽬までに関東から出国」(同)するのだという。
このほか信越は旅行者数0.4万人、広域移動者数0.4万人(100%)とほぼ全員が移動する。「 ⼊国3⽇⽬が、関東滞在のピーク で、多くが4⽇⽬までに信越に戻る (⼀部は東海・近畿に移動)」(同)するという。北陸でも旅行者数1.5万人に対して広域移動者数は1.4万人(93.3%)、「⼊国3⽇⽬に信越滞在がピークを迎えた後、関東へ広がり北陸へ戻る(東海・近畿への移動も並⾏)」(同)のだという。
東海は26万人の旅行者があり、18.8万人(72.3%)が広域移動し、「⼊国4⽇⽬に関東滞在がピークを迎え、多くが5⽇⽬までに関東から 出国するか、近畿へ回帰」(同)する。
これを入国者の国別でみると、「“中国”・“アメリカ”・“フランス”は滞在都道府県数が多く、広域移動傾向が⾼い。移動傾向の低い“韓国”を除き関東が最多滞在区域だが、“台湾”・“⾹港”には、地⽅分散傾向が⾒られる。“中国”・”アメリカ”からの旅⾏者に、“関東”での⼊国~滞在~出国者数に⼀定の増減が⾒られる」(同)
もはや旅行は「日本=東京」という時代ではなくなったようだ。
(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)