洗濯物をたたんでくれる家事ロボットが今月発売…数年で「元が取れる」価格
主婦の労働時間をさらに短縮
セブン・ドリーマーズの説明によると、主婦が人生のなかで洗濯物の折りたたみに使う時間は9,000時間だそうで(計算の根拠は不明)、その時間を解放する、というのがふれこみだ。
現段階では、洗濯物を1枚たたむのに10分ほどの時間を要する。実際には寝る前に洗濯ものを投入して、朝起きる頃にはたたみ上がっているといった使い方になりそうだ。また、ハードウェアは完成しているものの、ソフトウェアは開発最終段階のベータ版の段階。今後、定期的なソフトウェアのアップデートにより、常に最新の状態で利用できるようになるという。
本体サイズは大型冷蔵庫くらいあり、マンションに置くにはやや大きすぎる感もあるが、デザイン性も高く、インテリアの一つとして考えれば、悪くはないだろう。
気になるお値段であるが、現在公表されている情報では、5月の売り出し価格は185万円。ただし、あくまでもリリース時の値段であり、今後普及すれば当然より安く、よりコンパクト、より高性能になるのは間違いない。
費用対効果をどう考えるか
セブン・ドリーマーズの発表によると、将来的には洗濯乾燥機とのセットで30万円くらいまで下げる予定とのこと。
これを筆者なりに計算してみる。たとえば主婦が洗濯ものの折りたたみに、3日に一回30分(1日平均10分)使うと仮定すると、1年で3,650分、時間にして約60時間。たとえば主婦の時給を1,000円としても、6万円/年の価値になり、5年で元が取れる試算となる。所帯が大きく、1日20分折りたたみに時間をかけている主婦の場合は、2.5年で投資回収だ。
今後、人の価値は高く、モノの価値は低くなる社会において、この試算をみる限り、これが実現した世界観は決して違和感のあるものではないだろう。
ランドロイドから考えさせられること
ランドロイドが実現した背景を、冒頭では「画像解析、ロボティクス、人工知能の融合」と表現しているが、それぞれを人間にたとえると、画像解析は「眼」、ロボティクスは「手足」、人工知能は「脳」と考えられる。とくに、「脳」の機能をつかさどる人工知能の進化が、ここでもイノベーションを加速していることがわかる。
つまり、人工知能の進化により、ここでもまた「人間しかできなかった作業をロボットが代替する」という流れが起こっているのだ。
ただし、人工知能の発達を、いわゆる「人間の仕事を奪う」ものとして警戒する論調が強いなかで、「主婦の時間を解放する」という目的で人工知能を表現しているのが興味深い。人工知能脅威論よりも、人工知能との共存論を訴えているのである。
人間が一生に使える時間は有限である。その有限な時間を有効に、かつ人間らしく使うために人工知能を活用する考え方には希望を感じる。ランドロイドのリリースにより、人工知能と人間の関わり方を改めて考えさせられた。
(文=星野達也/ノーリツプレシジョン株式会社 代表取締役社長、ナインシグマ・ジャパン顧問)