親和銀行の吉澤俊介頭取は、債権譲渡に関して十八銀行と協議する意向を表明した。十八銀行の森拓二郎頭取も「債権譲渡も選択肢のひとつ」と述べ、歩調を合わせた。
5月中旬から、親和銀行と十八銀行は、融資先1879社に対して債権譲渡について意向の確認を始めた。2行の融資先の合計債権額は、およそ3000億円。両行の役員や支店長が説明に回っている。債権譲渡の推計値を5月中にも確定し、公取委との交渉の場に提示する方針だという。
1879社のうち大口は2~3割。上位2~3割で債権残高の70~80%を占めると見られており、大口融資企業の了解が得られるかどうかが焦点となる。
FFGは17年10月の経営統合を目指しており、公取委から7月中に合併の承認を得るスケジュールを変えていない。
●第四銀行と北越銀行の合併承認を突破口にする
第四銀行と北越銀行の統合で、新潟県内の貸出シェアは5割に達する。公取委が、これをどう判断するかがポイントだ。新潟の5割は認められ、長崎の7割は認められないのか、という点が焦点になる。新潟の事例を突破口に、「十八銀行がFFG入りすることを公取委に認めさせようとしている」(別の地銀頭取)との読みが働く。
仮に、第四銀行と北越銀行、十八銀行と親和銀行、これらの統合を公取委が認めれば、堰を切ったように各県で1位、2位の統合が加速することになる可能性は高い。
利用者、取引先にとって、1位と2位の統合はメリットがあるのだろうか。これについて新潟有力地場企業のトップは、「借り入れ金利が高止まりするだけではないか。融資を受ける企業は、競争原理が働かなくなった巨大地銀の足元に屈服するしかなくなる」との懸念を示す。
森氏は「横並びの競争をやめよ」と大号令をかけている。森氏が“指導”する経営統合が実現すれば、「横並びの競争」は確かになくなる。だが、1県1行体制になった時、地方経済はどうなるのか。
公取委の主張は正論だ。融資シェア70%超の地銀が誕生すれば、その県(及び地域)の金融機関同士の競争はなくなってしまう。さらに森氏の“圧政”に苦しめられているというのが実態で、“地銀一揆”が起こらないのか不思議なくらいだ。
(文=編集部)