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うどん県・香川、今度は「盆栽県」で世界進出始動…ガールズユニット「ボンクラ」結成

文=小川裕夫/フリーランスライター
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海外の盆栽ブームに乗る

 そして、このほど香川県が密かに売り出そうとしているのが、「盆栽」だ。香川県は、松の盆栽生産量が全国一を誇る知られざる盆栽大国。香川県内、特に県都・高松の市内には盆栽の生産農家が多く点在する。

 香川県は特産品である盆栽の生産振興・販売普及を図るため、「盆栽と共に暮らす生活」をキャッチコピーにした「ボンクラ」というガールズユニットを2016年に結成。頭に盆栽を生やしているボンクラは、一見すると奇妙な見かけをしているが、精力的に全国を回ってPR活動に取り組んでいる。

 盆栽推しをしている自治体といえば、埼玉県さいたま市が有名だ。さいたま市には昭和初期から盆栽業者が集積し、大宮盆栽村が形成された。盆栽村は、“クールジャパン”を体験できるエリアとして訪日外国人観光客の間で人気が高まり、多くの外国人が押し寄せている。

 海外で盆栽ブームがじわりと熱を帯びている一方、害虫や外来種の侵入といった防疫の観点から、盆栽は輸出入が厳しく制限されている。そのため、外国人観光客がたくさん日本に訪れても日本土産として持ち帰ることは容易ではない。大きな障壁が立ちはだかるなか、盆栽を振興させようとする香川県の鼻息は荒い。

「お土産で盆栽が持ち帰ることができないとなったら、海外の盆栽ブームはしぼんでしまうかもしれない。海外の盆栽ブームの沈静化は、香川県にとっても死活問題。そのため香川県はJETRO・JA・生産農家などと協力し、輸出における障壁を取り除くべく努力を続けています。また、海外の盆栽ブームと同時に、国内でも盆栽の人気が出るように、さぬきうどんと同様に積極的にPR展開をしていています」(香川県職員)

 香川県をはじめ業界団体・愛好家たちの尽力によって、一部制限つきながらも盆栽が海外に輸出されるようになってきた。これまで、どこの都道府県も「食」で外国人観光客を誘致しようと躍起になってきた。いくら美味しい食材でも、ひとりの観光客が食べられる量には限度がある。また、食による地域振興はどこの地方自治体でも取り組んでいる。それだけに、競争の激しい既存市場(レッドオーシャン)ともいわれる。レッドオーシャンに固執すれば、地方自治体は共倒れになってしまうだろう。

 盆栽は日本独自の文化なので、ほかの外国の都市と観光客を奪い合う消耗戦にも陥らない。これまで盆栽による観光客誘致はどこも手掛けていない。まさに、未開拓市場(ブルーオーシャン)といえる。

 香川県が取り組み始めた奇想天外な「盆栽」による観光客誘致と外貨獲得戦略、そして地域振興。それらの取り組みによって、新しい潮流が生まれようとしている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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