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互いに「あいさつ」しないヤマダとニトリの会長…業界王同士が「領域侵食」で予測不能

文=編集部

ニトリは家電や、リフォームに進出

 非家電事業の柱に据えるのが、家具やインテリア雑貨に特化した新業態店で、それはニトリHDの牙城だ。

 ニトリHDの17年2月期の売上高は前期比12%増の5129億円、営業利益は17%増の857億円。30期連続の増収・営業増益という大記録を達成した。

 似鳥昭雄会長兼CEO(最高経営責任者)は6月30日、ヤマダ電機が家具販売に進出することについて、「家具業界にとって、異業種の参入は好ましいことだ。それだけお客様にとって選択肢が増えることであり、お互い切磋琢磨していきたい」と語っている。

 同日、東京・渋谷にオープンした「ニトリ渋谷公園通り店」の記者会見で、記者の質問に、こう答えた。同店は地上9階建てのビルを借り、売り場面積は約5000平方メートルとニトリの店舗では都心で最大だ。掃除機や炊飯器など生活家電も扱う。

 ニトリはヤマダ電機が運営する商業施設のテナントとして5店を展開している。一方、ヤマダ電機はニトリHDが運営する商業施設に4店出店している。

 似鳥会長は「お互い、これまで関係ある企業だったが、家具などを販売することについては、相談はなかった。ただ、うちも小物家電を扱っており、小物家電をやる時にあいさつには行っていない」と述べたという。

 ニトリは17年5月、中古住宅販売のカチタス(群馬県桐生市)に出資した。カチタスは買い取った戸建ての中古住宅をリフォームし、再び販売する中古住宅の再生事業を手掛ける。

 リフォーム事業で先行しているのはヤマダ電機のほうだ。注文住宅のエス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)や住宅機器のハウステックを買収するなど、住宅分野を拡大してきたが、エスバイエルホームは足踏み状態が続く。

 家電の帝王・ヤマダ電機と家具の王者・ニトリHDは、業態のニアミスが目立ってきた。両社のガチンコ勝負の結果が、流通・小売り界の勢力図を大きく塗り替えるかもしれない。
(文=編集部)

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