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食品関連企業に、HACCP(ハサップ)の導入を義務化する制度をつくるというものだ。来年の通常国会に食品衛生法改正案を提出する予定で、着々と準備を進めている。HACCPは、次のように定義されている。
「食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害をあらかじめ分析し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点を定め、これを連続的に監視することにより製品の安全を確保する衛生管理手法」
この制度を、会社の規模に関係なく製造・加工業者から飲食店、スーパーマーケットなどの小売店に導入させようとしている。
しかし、この制度を導入するには、新たな設備を導入する費用もかかる上に、管理をしていく人材も必要になる。世界基準とはいえ、中小企業でこうした制度を導入し正しく運用していくことはかなり難しい。費用の問題もさることながら、導入後の管理体制が十分確保できるかも大きな課題である。
HACCPを導入しなければ商売ができないのなら、この際廃業しようとする事業者も出てくる可能性がある。導入したとしても、費用を売価に上乗せしなければ商売が成り立たなくなる。安全を守るためには、費用と人材が必要なことは確かだが、小規模事業者まで義務化の対象にすることは負担が大きすぎる。慎重な制度設計が必要だろう。
(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)
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