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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

【日馬富士暴行】白鵬と横審は大相撲を侮辱、「正しい貴乃花親方」への批判は間違い

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 具体的には、現時点で日馬富士への引退勧告を出すことだ。それによって、現役横綱が書類送検されたり逮捕されるなど、大相撲を愛好する日本人に対する悪夢のような出来事だけは見ずにすむ。

貴乃花親方の対処は正しかった

 本事件で、貴乃花親方が事情説明をしない、あるいは相撲協会の調査に協力しない、という批判がある。しかし、警察沙汰とした時点から貴乃花親方の対処は正しかった。

 いろいろな経緯が報道されているが、事件を単純化するとその本質は成人による他人への暴行傷害事件である。重症度などについて2つの診断書の内容が異なると指摘されているが、いずれの診断書でも傷害があったことは明記されている。被害者は暴行により場所出場という勤務を妨げられた。10針以上縫う重症で、その後も後遺症で入院に至っている。これは、稽古での「かわいがり」などではない。日馬富士は激昂してカラオケのリモコンで殴打したとも伝えられ、それは否定されていない。

 これだけの被害があれば、警察に駆け込むのが市民常識であり、私たちは法治国家に暮らしているのだ。そして、ひとたび刑事事件として捜査が始まったのなら、関係者は粛々としてその捜査結果と立件への判断を待つべきなのだ。

 危機管理委員会の調査などは、刑事立件に対しては非公式、内的な調査となり、何より本件の場合は力士出身の委員が多数を占めていることから、むしろ利害関係者による不公正、あるいは不十分な調査(揉み消し、矮小化、喧嘩両成敗など)によって“協会への利益誘導”がなされる可能性もある。相撲協会の下部組織であるからには、組織防衛的に動く可能性は大きい。刑事沙汰となった以上、危機管理委員会での調査は慎む、つまり中止すべきだろう。司直の裁断を待つべきだ。

 そして、捜査が警察に預けられた以上、貴乃花親方は相撲協会の調査には応じず、マスコミにも話さない、さらに被害者である貴ノ岩に対する働きかけを避けるため、姿を現さないという措置を取った。

 貴乃花親方のこれらの対応は首尾一貫しており、支持できる。親方が本件に関してコメントを出さないなどと、マスコミでは非難の論調があるが、親方は被害者側であり、事態は警察に預けられたのだ。そんな単純な構図で状況を見るべきだ。

白鵬もその品格が疑われている

 貴乃花に比べ、平成の大横綱である白鵬の対応はいかなるものか。白鵬は千秋楽の後、土俵際のインタビューで「場所後に真実を話し、膿を出し切って、日馬富士関と貴ノ岩関が再び、この土俵に上げてあげたいと思います」と、異例のコメントをした。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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