日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した11月の国内新車販売台数(軽自動車含む)によると、無資格検査の問題があった日産自動車は前年同月比27.4%減の3万4693万台と2カ月連続で減少した。同じ無資格検査が判明したSUBARU(スバル)も12.8%減の1万2161台と14カ月ぶりのマイナスとなった。
軽を除く新車の登録台数だと、日産は同42.4%減の2万797台。一方、スバルは13.0%減の1万289台だった。日産の乗用車の落ち込みは激しく、2カ月連続で大幅減だ。
国内の新車販売は2017年9月まで11カ月連続でプラスだったが、その後は一転して前年実績を下回っている。一連の不正問題が影を落とした。
日産の無資格検査のリコール費用は310億円
資格を持たない従業員が完成車の検査をしていた日産は、10月20日までに国内6つの完成車工場で国内向け車両の生産と出荷を停止。販売店でも顧客への新車の引き渡しをストップ。116万台のリコール(回収・無償修理)を届け出た。その後、11月8日までに生産を再開したが、17年度下期(17年10月~18年3月)の国内生産計画を従来より15%少ない51万台前後に下げた。
各工場で生産のスピードを落としているためで、同じラインで生産している輸出車種にも影響が広がっており、一部車種は海外の提携先の工場に生産を振り替える。日産自動車九州では、北米向けSUV(多目的スポーツ車)・「ローグ」などの減産分を、生産を委託している仏ルノー傘下の韓国ルノーサムスン自動車で増産することになる。
無資格検査の影響は、ボディーブローのように効き始めている。
日産は18年3月期の連結営業利益を前期比13%減の6450億円に下方修正した。8%減の6850億円としていた従来予想を400億円下回る。無資格検査に関連するリコール費用を約310億円、タカタの欠陥エアバッグ問題の集団訴訟の和解費用として約100億円を計上するためだが、「スバルに比べてリコール費用の計上が過小ではないか」(外資系証券会社の自動車担当アナリスト)との指摘もある。スバルは39.5万台で200億円と見積もっているのだから、1台当たり5万円としていることになる。スバルの基準で日産がリコール費用を計上すると580億円になる。310億円では270億円足りない勘定だ。