世界の自動車の潮流はEV(電気自動車)シフトが鮮明になってきた。18年はこの傾向がさらに強まるだろう。
EV時代の到来を迎え、「EVの先駆者」を自負しているルノー・日産連合の最高責任者、カルロス・ゴーン氏は強気の姿勢を崩していない。9月15日、仏パリ市内で記者会見し、6年間の中期経営計画を発表。「2022年までに、人が運転に関与しない完全自動運転車を実用化するほか、販売台数に占めるEVやPHV(プラグインハイブリッド車)の割合を3割に高める。22年の世界販売台数を1400万台にする」とした。
EVリーフの新型モデルを10月2日に世界で一番早く日本で発売した。ポイントは1回の充電で走れる航続距離が、初代リーフのデビュー当時の2倍に当たる400kmになったことだ。
ところが、リーフの新型モデルの投入を発表した直後に、無資格検査の問題が発覚した。EV新時代のスタート早々、ケチがついたのである。
日産は海外で生産して、海外で販売しているメーカーだ。日本の無資格検査問題は海外には無関係と冷静さを装っているが、そうはいかないだろう。無資格検査問題が発覚してから、名実ともに日産グループのリーダーであるゴーン氏は一度も記者会見など公式の席には出ず、説明責任を果たしていない。日産のコーポレートガバナンス(企業統治)の質が問われている。
生産部門を担当する松元史明副社長が12月31日付で退任する。事実上の引責辞任だ。西川廣人社長は、無資格検査問題を受け役員報酬の一部返上を発表したが、役員の責任の所在を明らかにするのはこれが初めて。しかし、松元氏は取締役にとどまるという中途半端な処遇だ。
これで一件落着とはいかないだろう。国土交通省は12月22日、横浜市の日産本社を立ち入り検査した。同省は日産の管理体制が不十分で、経営実態を調べる必要があると判断した。無資格検査問題で本社への立ち入りは初めてである。
12月22日付日本経済新聞は「ルノーCEOのゴーン氏、退任の観測」と報じている。フィガロ、レゼコーなどフランスの有力紙が「ヘッドハンティング会社による後継者の選定が始まった」と報じたとしている。
ゴーン氏のルノー取締役の任期は18年6月15日に開かれる株主総会で切れる。CEOが交代する場合には、株主総会までに後任を選ぶ必要がある。
このように、ルノー・日産自動車グループは大揺れなのである。