スバルの無資格検査のリコール費用は200億円に拡大
スバルは11月16日、無資格検査の問題で「レヴォーグ」など9車種・39万5000台のリコールを届け出た。国土交通省から不正を指摘された後も無資格者が検査を続けていた日産に比べると、「悪質さ」の度合いは低いとの声が多い。吉永泰之社長が記者会見し、真摯に謝罪。時間を制限せず、記者団の質問に答えた。
日産の西川廣人社長が当初、「これは謝罪会見ではない」との姿勢で臨み、ユーザーの反発を買ったのとは好対照だった。
10月27日、吉永社長が記者会見を開いた段階でリコール対象車は25万台、対策費用は50億円を見込んでいた。11月6日の中間決算発表時には100億円と、50億円を積み増した。11月16日のリコール届出時には39.5万台、200億円と費用をさらに倍増させた。
同時に、スバルは18年3月期の業績見通しを下方修正した。売上高は3兆4200億円から3兆3800億円に、営業利益は4100億円から3800億円に、純利益は2285億円から2070億円に、それぞれ引き下げた。主力市場である米国での販売計画を見直したことから400億円の売り上げ減。純利益は215億円目減りした。目減り分の約半分の100億円はリコール費用という。
17年、創業100周年を迎え、4月に富士重工業からSUBARUに社名を変更したばかり。記念すべき年に無資格検査が発覚した。吉永社長は痛恨の極みだろう。
販売増の布石も打っている。12月1日に開催された「ロサンゼルスモーターショー2017」に、新型3列SUV「アセント」を初公開した。アセントは英語で「上昇」を意味する。
今までスバルには3列シートのSUVはなかったため、スバリスト待望の新型SUVが誕生した。来年は米国市場で、韓国の現代自動車を追い抜く可能性が高まっている。
無資格検査問題で両社とも株を下げた。当然、東京株式市場で株価も下落した。
17年の日産の株価は1200~990円のレンジで動いた。無資格検査問題の発覚後は一時、1000円の大台を割り込んだ。対するスバルの株価は5000~3500円(高値は1月5日の5016円、安値は11月20日の3562円)で推移していたが、無資格検査で安値をつけた。