はれのひ、詐欺罪での立件も視野に
はれのひのトラブルでは、被害総額はすでに2億円を超えるとみられている。また、詐欺罪での立件も視野に入っているという。しかし、報道されている被害総額と詐欺として立件される金額には、大きな差が生まれるはずだ。
たとえば、今年被害に遭った人たちは、おそらく半年以上前に代金を支払い済みだろう。そのため、その時点で詐欺が計画されていたのかどうか……という詐欺の「加害意思」の有無がカギとなる。つまり、「どの時点から詐欺の認識が生まれていたか」によって、詐欺として認定される被害額は大きく変わるのだ。
「今回の件は当然、刑事と民事の両方で考えられるでしょう」と言うのは、東京弁護士会の渡邊信弁護士(アスク総合法律事務所代表)だ。
「まだ財務状況なども明らかになっていないので予測でしか話せませんが、これだけ社会的に大きな問題になれば、警察は詐欺罪での立件を企図するでしょう。詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です」(渡邊弁護士)
詐欺罪は形態によって量刑事情が大きく左右される犯罪だ。仮に立件されれば、はれのひは「正当な取引から、不慮の事情でやむを得ず逸脱してしまった」と主張するかもしれない。その弁解が効を奏せば、実刑で処断されるとしても期間が短くなることもある。では、民事の場合はどうなるのか。
「一般的には、被害者が集まって損害賠償の集団訴訟ということになるでしょう。損害賠償では勝訴する可能性はあります。契約不履行を理由にできるので。ただ『では、現実的に損害額が賠償されるのか』と言われれば、正直あやしいですね」(同)
はれのひが破産していて、すべての資産をかき集めてもお金がなければ「ない袖は振れない」ということになるのである。東京商工リサーチによると、2016年9月の時点で負債総額は約6億1000万円に上っており、そのうち金融債務が約4億円だという。手元にどの程度の価値のある資産が残っているかが気になるところだ。
仮に計画倒産だったとすれば資産隠しをしている可能性もあるが、今度はその隠し場所を探し出さなければならない。それが被害者たちにできるのかといえば、おそらく難しいのが現実だろう。
事件後すぐに、同業者が発起人となって被害者の会が立ち上がった。テレビで顔出しで取材を受けていたのでおそらく安全なのだろうが、そのウェブサイトには疑問も残る。民事訴訟に向けて活動するというわりには、法曹関係者の名前がどこにもないのである。今後も同様の組織が立ち上がるかもしれないが、法的に行動を起こす以上は弁護士などの法律関係者が主体となっていることが大事であり、そうした部分を確認することも必要だ。