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もうひとつの理論は、女性初の東大教授になった社会人類学者、中根千枝教授の考察です。約50年間前に書かれた不朽のベストセラー『タテ社会の力学』『タテ社会の人間関係』において、日本人は「ウチ」と「ヨソ」を分ける文化を持っており、会社は終身雇用が基本で社員を「ウチ」として家族のように囲い込む一方で、自社の社員以外の人を「ヨソ」として排斥する傾向があると指摘しています。ネットワーク分析の理論では、人と人のつながりを紐帯(ちゅうたい)と呼びますが、「ウチ」のなかでは密度の濃い「強い紐帯」になっているといえるでしょう。
さらに中根氏は、日本企業は5~7名の小集団がひとつの単位として活動しており、全体の命令や指令よりもむしろそうした小集団が、組織全体と同質ながら、既得権を持って個別の動きをする特徴があると指摘しています。例として石垣を挙げ、石垣の石はそれぞれ形が違うが同質の石であるのと似ているといい、日本の組織では大集団の長よりも小集団の長のほうが重要な存在だとしています。
なぜならば、日本社会においては個人単位の集団参加は常に小集団に限定されており、たとえ組織的に大集団に属していても、それは小集団を通しての参加であり、行動的に個人参加というものではないからです。
社長の命令を無視
小集団は個人の社会化にとって、何よりも重要な場を提供し、個人の社会生活や人間関係のパターンは小集団で育まれることになるため、その構成員である個人は全人格的ともいえるほどの集団参加が要求されることになります。つまり非常に「強い紐帯」の組織になります。必然的に個人を中心とした外部との自由なネットワークはあまり形成されません。また、内部で異論をいうことはできなくなります。文字通り「村八分」になるからです。
たとえば日本企業は独身寮や社宅を用意し、運動会などのイベントや福利厚生、社員旅行などのまさに24時間家族のような付き合い方を要請します。プライベートでも部長の奥様の会などというものが存在し、新米の奥様はたとえ年上でも部長の奥様に従属しなければならないといいます。そして昼は社員食堂でみんなで同じ食事をとり、夜は夜でまた同じメンバーでいつもの店に飲みにいくという社会です。これは「村社会」といえます。
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