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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

ソフトバンク、「Pepper元開発リーダー」不使用要請は「言論の自由への抵抗」

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 文中では「これまでも弊社は数回にわたって事実と違った呼称を使わないよう林氏サイドに対し申し入れを行ってまいりましたが、改善がみられないため、今回改めて前述の認識についてメディアの皆様にお伝えさせていただくことにいたしました」とも記載されている。この部分などは、林氏を詰問・批難しているようにも受け止められる。2015年9月に林氏がソフトバンクロボティクスを退職したときにはトラブルなど報じられていなかったし、同氏は今でもソフトバンクグループを担う後継者発掘・育成を目的とする企業内学校、ソフトバンクアカデミアの会員で、同社の孫正義会長兼社長に心服しているという。

 上記の「要請書」では、2つのことがポイントなる。

(1)林氏はソフトバンクロボティクスを退社した後、「Pepperの『父』」「生みの親」「(元)開発者」「(元)開発責任者」「(元)開発リーダー」などを自称していたのか。
(2)林氏は、ソフトバンクグループに在職していたとき、Pepperの開発リーダーだった、少なくともそう目されていたのか。

「Pepperの開発リーダー」と呼ばれていた

 まず、(1)問題の呼称群を林氏は自称していたのか。林氏自身は、次のように反論した。

「これまで私が自ら『ペッパーの父』『生みの親』と自己紹介をしたことはなく、今後そのような主張をするつもりもございません」(林氏のFacebook、1月25日付投稿)

 次に、(2)林氏はソフトバンクロボティクス社に在職していたとき、実際にPepperの開発リーダーだったのか、少なくともそう目されていたのか、である。GROOVE X社は次のリリースを発表している。

「一方、ソフトバンク社様HPに記載されている以下URLの記事において『開発リーダー』表現が使用されていた事実があることから、Pepper『開発リーダー』の呼称の使用については特段の問題がないものと考えておりました。」(18年1月24日同社リリース)

 在職中、林氏がマスコミに露出するときには、「開発リーダー」との呼称が通用していたらしい。同氏の正式な肩書きは「PMO室長」ということだった。「開発リーダー」のほうがその職務内容をわかりやすく表現していたことは間違いなく、それが多用され、会社の広報やホームページにも同氏を紹介するときに使用される、ときには同氏自身もその呼称でイベントなどにも出演するなど、広く使われていた。つまり、「会社公認での使用」だった。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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