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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

50代の半導体技術者、報酬数十倍で中国企業が争奪戦…役職定年が日本企業を弱体化

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

中国半導体企業の実態

 中国は、世界の半導体の半分以上を消費する最大のマーケットとなった。それは、130万人を擁し「世界の工場」となった台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が世界の9割のPC、スマートフォン(スマホ)、デジタル家電などを中国で組み立てているからである。これら電子機器には、大量の半導体が必要である。それゆえ、世界の半導体の半分以上が中国に雪崩れ込んでいるのである。

 現在、中国の貿易赤字の元凶は、石油ではなく半導体になってしまった。この貿易赤字を解消するため、習近平国家主席は「中国IC産業ファンド」を設立した。当初2兆円だったファンドは、現在18兆円の規模になっているという。

 この巨額ファンドを使って、15年に中国の紫光集団が世界の半導体企業を爆買いしようとしたが、米国司法省の反対などもあって失敗した(16年4月20日付本連載記事)。すると今度は、ふんだんにある「中国IC産業ファンド」を使って、中国が自前で半導体工場をつくることにした。たとえば、紫光集団は以下の3つの半導体工場を建設する計画を立てている。

(1)240億ドルで武漢に月産30万枚の3次元NAND工場を建設
(2)300億ドルで南京に月産30万枚のDRAM工場を建設
(3)280億ドルで成都に月産50万枚のファンドリーを建設する(ファンドリーとは、委託製造専門の半導体メーカー)

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(1)については、紫光集団がXMCを傘下に収め、長江ストレージと社名を変えて着々と3次元NANDの開発および量産工場の建設を進めている。16年に9層(8層のメモリセル+1層のコントローラ)の3次元NANDの動作に成功した後、32層の開発をはじめ、17年末には歩留まり50%を超え、サンプル出荷を開始した。また、48層をスキップして現在世界の最先端である64層の開発に着手し、19年には量産する模様である。12インチウエハで月産10万枚の工場を20年までに3棟建設する予定であるが、17年末時点ですでに第1棟の建設が完了している(図1)。

(2)についても、長江ストレージのActing chairmanで、紫光集団のExecutive VP、Charles Kau氏は、最先端の1xnmDRAMを量産すると宣言した模様である。(1)の3次元NAND工場のような具体的動きはまだ見えないが、今後、計画が遂行されていく可能性が高い。

 紫光集団以外にも、中国で巨大DRAM工場を建設する動きが少なくとも2つある。以下にわかっていることを紹介する。

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